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プロトンポンプ阻害剤ネキシウム、小児用法・用量の追加を目指す臨床試験開始—AZ

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2018年07月18日 PM12:30

胃潰瘍などではすでに小児用法・用量の一変承認取得済み

アストラゼネカ株式会社は7月13日、プロトンポンプ阻害剤(PPI)「(R)カプセル10mgおよび20mg」「(R)懸濁用顆粒分包10mgおよび20mg」(一般名:エソメプラゾールマグネシウム水和物)の2剤形の小児用法・用量について、効能・効果への拡大を目的とした臨床試験を開始したことを発表した。今回の臨床試験は、「再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法」、「(NSAIDs)投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」、「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の効能・効果の拡大を目的としたもの。同剤は2018年1月、1歳以上の幼児および小児の用法・用量をとして、、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、(初期治療)、非びらん性胃食道逆流症(10mgのみ)、Zollinger-Ellison症候群を効果・効能とした一部変更承認を取得している。

ネキシウムは、胃酸分泌の最終過程を担うプロトンポンプを選択的に阻害することにより、酸分泌抑制効果を発揮し酸関連疾患に対して優れた臨床効果を発揮する薬剤。現在、世界125か国以上で承認、販売されている。日本では、成人を対象とした胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助の効能・効果として、2011年7月にアストラゼネカが承認取得し、第一三共株式会社と共同販売を行っている。また、2012年6月に「低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」、2013年2月に「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助」の効能・効果が追加承認されている。

1~14歳までの小児患者、安全性・有効性を最長52週間検証

今回の試験では、1~14歳までの小児患者で、逆流性食道炎の初期治療で改善が認められた患者、あるいは、NSAIDsまたは低用量アスピリンの長期投与が必要な胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴のある患者を対象に、同剤の安全性、有効性を最長52週間検証する。

なお、この試験は、日本医療研究開発機構(AMED)が、日本国内における革新的な医薬品・医療機器の創出を目的とした臨床研究や治験の更なる活性化を目的とした研究を推進する「臨床研究・治験推進研究事業」の一環である「小児領域における新薬開発促進のための医薬品選定等に関する研究」において、ネキシウムが「優先的に開発すべき医薬品」とされ、日本小児科学会より同製品の迅速な開発の要望を受けて実施されるもの。

同試験の治験調整医師で、日本小児科学会執行役員ならびに薬事委員会担当理事の順天堂大学大学院医学研究科小児思春期発達・病態学講座の清水俊明主任教授は、「さまざまな原因で起こる小児の逆流性食道炎は、重症化すると食道狭窄や消化器出血、成長障害を引き起こす可能性があるため、維持療法として長期の治療を必要とする小児患者さんがいます。懸濁用顆粒剤をもつネキシウムが小児治療において果たす役割は大きいと考えます」と述べている。(遠藤るりこ)

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