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認知症の発症リスク、50歳でSBP値130mmHg以上の人は高い可能性

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2018年06月29日 AM10:00

「50歳で血圧高め」は認知症のリスク因子か

50歳の時点で収縮期血圧(SBP)値が130mmHg以上だった人は、血圧が低かった人と比べて、後に認知症を発症するリスクが高い可能性のあることが新たな研究で示された。論文の筆頭著者で国立保健医学研究所(フランス)のJessica Abell氏は「このことは、正常高値血圧(SBP 130~139mmHg)であっても脳に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と述べている。詳細は「European Heart Journal」6月12日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

各国の診療ガイドラインでは従来、高血圧の定義はSBP/拡張期血圧(DBP)値140/90mmHg以上が採用されてきた。しかし、正常高値血圧でも心筋梗塞や脳卒中、、腎不全のリスクが2倍とする最新のエビデンスに基づき、2017年に米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は診断基準を130/80mmHgに引き下げている。一方で、欧州高血圧学会(ESH)のガイドラインでは、診断基準は従来通り140/90mmHgに据え置かれている。

今回の研究では、Whitehall IIコホート研究に参加した英国の公務員8,639人(女性32.5%)を対象に、1985年から2003年の間に血圧を6年ごとに計4回測定し、2017年まで認知症の発症を追跡して血圧と認知症の発症との関連を調べた。今回は特に50歳、60歳および70歳時点の血圧に焦点を当てて解析したという。

その結果、社会人口学的な因子などさまざまな因子で調整した解析でも、50歳時点でSBP値が130mmHg以上だった人は、130mmHg未満だった人と比べてその後に認知症を発症するリスクが1.38倍であることが分かった。一方で、60歳および70歳時点のSBP値とDBP値はいずれの年齢でも認知症リスクと関連しないことも明らかになった。さらに、平均年齢で45歳と61歳の間にSBP値が130mmHg以上だった期間が長いほど認知症リスクは上昇することも示された。

Abell氏によると、高血圧は一過性脳虚血発作(TIA)や脳白質の損傷、脳への血流不足などを引き起こす可能性が指摘されているという。また、この結果から、中年期の早くから血圧が高い状態が続くほど認知症リスクは高まることが示唆されたことから、「健康寿命を延ばすには中年期の血圧を正常に保つことが重要だ」と同氏は強調している。

専門家の一人で米アルツハイマー病協会のHeather Snyder氏は、この結果は脳と心臓の健康は直接関係するとした既存の報告を裏付けるもので、「認知症予防のためにこの結果をどう生かしていくべきか、真剣に考えるべきだ」とコメントしている。一方で、米マウントサイナイ医療センターのSam Gandy氏によると、一定の年齢を過ぎると血圧を下げても認知症を予防できない可能性が示されており、「血圧が高い状態が長期間続いた人は身体がその状態に慣れており、血圧を下げるとかえって認知機能に悪影響が出る可能性がある」と話している。(HealthDay News 2018年6月13日)

▼外部リンク
High Blood Pressure in Your 50s May Set Stage for Dementia

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