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がん細胞を効果的に傷害できる組換え抗体分子を開発-東北大

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2018年06月28日 PM01:00

従来の抗体とは異なる作用機序の二重特異性抗体

東北大学は6月26日、微生物で調製可能でありながら、がん細胞とリンパ球に結合できる部位を複数もつ「竜の落とし子構造」を設計することで、がん細胞を効果的に傷害できる組換え抗体分子の開発に成功したと発表した。この研究は、同大大学院工学研究科の梅津光央教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Advanced Therapeutics」オンライン版に掲載された。


画像はリリースより

免疫機構を司る抗体分子は、その高い親和性と特異性から、近年、国内外の製薬会社によってがんをはじめとした治療薬として開発されている。その中で、がん細胞と免疫に関与するT細胞を架橋できる二重特異性抗体は、従来の抗体とは異なる作用機序で、がん細胞を傷害できることから次世代型の抗体医薬品として期待されている。

この二重特異性抗体の開発において、腫瘍に対する浸透性が高く微生物で調製が可能な低分子型の抗体があるが、低分子であるがゆえに、がん細胞およびT細胞に結合できる部位が各々ひとつしか設計することができないものが多く、がん細胞とT細胞の間に強い相互作用を持たせることができないという課題があった。

従来の低分子型抗体よりも約1,000倍高い細胞傷害

一般的な抗体では、抗原分子と結合ができる部位はヘテロな二量体になる。研究グループは、この二量体をつなげたものが会合しやすいことと、ラクダがもつ抗体では抗原に結合する部位が単量体であることに着目。微生物で調製できる程度に低分子でありながら、がん細胞とT細胞に結合できる部位を各々2つもつBiBian(Bispecific and Bivalent antibody)と名付けた二重二価抗体を作製することに成功した。

この抗体は、竜の落とし子のような構造を形成することで、コンパクトでありながら細胞に結合できる部分を表面に露出しており、がん細胞に対して従来の低分子型抗体よりも約1,000倍高い細胞傷害を示したという。そして、これまでの低分子型抗体ではがん細胞を傷害しにくかったがん細胞の塊に対しても、効果的に細胞塊を縮小させ、マウス実験においても十分ながん腫瘍の増殖抑制も示した。

今後、この構造をもつ抗体の作用機序を解析することにより、組換え型がん治療抗体開発の更なる加速が期待される、と研究グループは述べている。

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