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【CDC調査】「悪夢のスーパー耐性菌」感染拡大の可能性

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2018年04月16日 AM10:00

「悪夢のスーパー耐性菌」アウトブレークの可能性

米疾病対策センター()は4月3日、全米の保健局から提出された薬剤耐性菌のサンプルを分析した結果、それまで米国ではほとんど確認されていなかった型の耐性遺伝子を保有する「悪夢の細菌(nightmare bacteria)」が221サンプルも見つかったことを明らかにした。これらの耐性遺伝子がより危険な細菌に拡散すると、全ての抗菌薬に耐性を示す致死的な「」の出現にもつながる可能性があるという。調査報告書は「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」4月6日号に掲載されている。


画像提供HealthDay

「悪夢の細菌」とは、抗菌薬の最後の切り札ともいわれるカルバペネム系抗菌薬が効かないカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)を指し、近年、世界各国で大きな問題となっている。その一部は細菌から細菌へと伝播する耐性遺伝子を保有しているが、これまで米国ではKlebsiella pneumoniae carbapenemase (KPC)型の耐性遺伝子が大半を占めていた。

しかし今回、CDCの薬剤耐性研究室ネットワーク(Antibiotic Resistance Lab Network)が2017年1~9月に調査を実施したところ、全米の医療機関や介護施設の患者などから分離されたCRE(4,442サンプル)とカルバペネム耐性緑膿菌(1,334サンプル)のうち221サンプルがKPC型以外の型の耐性遺伝子を保有していることが分かったという。

また、KPC型以外の型の耐性遺伝子を保有するCREが確認された施設で無症状の患者を対象に検査を実施した結果、10人に1人で同じ型のCREが見つかった。

こうした耐性遺伝子を保有する薬剤耐性菌は、症状の有無にかかわらずヒトからヒトへと感染するだけでなく、細菌から細菌へと耐性遺伝子が伝播して感染が拡大する恐れもあるという。

CDC長官代理のAnne Schuchat氏は、4月3日の記者説明会で「通常の細菌を悪夢の細菌に変える能力をもつ耐性遺伝子は、多くの州で認められている」と説明。また、「これまでの対策によって施設間での感染拡大や細菌から細菌への伝播を迅速に封じ込めることはできているが、それでも米国では薬剤耐性菌の感染者数は年間200万人に上り、それによって2万3,000人が死亡している」と話した。

さらに同氏は、薬剤耐性菌を火災に例え、「薬剤耐性菌は感染症を引き起こすだけでなく、他の細菌に耐性を与える可能性がある。火災と同様、すぐに見つけて阻止することで患者を守ることができる」と強調した。

CDCは、これまで「耐性菌の迅速な発見」「医療機関や介護施設での感染管理の評価」「耐性菌に感染している可能性がある無症状の患者のスクリーニング」「感染の拡大が阻止されたことが確認されるまでの感染管理の持続的な評価」などを推し進めてきた。実際にこれらの対策によってテネシー州やアイオワ州でまれな耐性遺伝子を保有する患者が同定された後、感染の拡大を防ぐことができたという。

CDCは、新たな封じ込め戦略によってCREの新規感染を3年間で州当たり1,600件予防し、76%低減することができると推定している。今回の報告書では、米国医療安全ネットワーク(NHSN)の2006~2015年のデータも示されたが、それによると医療関連感染に占める全体的なCRE感染の割合は年間15%のペースで低下しており、CDCは「薬剤耐性菌の特徴に合わせた戦略による成果だ」としている。(HealthDay News 2018年4月3日)

▼外部リンク
‘Nightmare Superbug’ Outbreak Could Happen, CDC Warns

HealthDay
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