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人の気持ちに共感する力に遺伝的要因が影響か、一部は自閉症などのリスクにも関連

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2018年03月27日 AM10:00

人の気持ちに共感する力に遺伝子が関係

人の気持ちに共感する力には遺伝的要因が影響している可能性を示した研究結果が「Translational Psychiatry」3月12日オンライン版に掲載された。研究では、こうした共感力に関与する遺伝的要因の一部は自閉症や統合失調症、拒食症のリスクに関連することも明らかになったという。


画像提供HealthDay

この研究は英ケンブリッジ大学のVarun Warrier氏らが実施したもの。対象は、遺伝子検査サービスを手掛ける企業である23andMe社の利用客のうち、研究に協力することを承諾した4万6,861人。対象者は遺伝子解析を行うための唾液試料を提供し、60項目の質問で構成された共感力を点数化する検査を受けた。

Warrier氏らがゲノムワイド関連解析()と呼ばれる手法を用いて解析した結果、共感力にみられる個人差の約10%は遺伝的要因で説明できることが示された。ただ、今回の研究ではヒトゲノムの全てのDNAを解析したわけではないため、実際の遺伝的要因による影響はさらに大きい可能性もあるという。

また、共感力の低さに関与する遺伝的要因の一部は自閉症リスクの高さにも関連していることが分かった。これについて、Warrier氏らは「自閉症の人は他人の感情を読み取るのが苦手であることを考えると、納得のいく結果だ」としている。一方、共感力の高さに関連する遺伝的要因の一部は統合失調症や拒食症のリスクの高さに関連していた。Warrier氏らによると、統合失調症や拒食症の患者は他人の感情や行動が「伝染」しやすい状態にあることが複数の研究で示されているという。

Warrier氏は「精神疾患の種類によって患者の共感力に差が見られることは以前から分かっていた。こうした差を生む遺伝的背景について解明を進めることで、これらの疾患についても遺伝的な理解を深めることができる可能性がある」と話す。その一方で、同氏は、共感力の個人差のうち遺伝的要因によって説明できる割合は10%のみであり、残る90%はそれ以外に要因があることに言及。「幼少期の育てられ方や人生経験など社会的な要因のほか、ホルモンなど遺伝以外の生物学的な要因が関与している可能性もある」との見方を示している。

この研究には関与していない米マサチューセッツ総合病院のHelen Riess氏は、「共感力には個人差があるだけでなく、同じ人でも日によって変動するものだ。例えば過労や正当に評価してもらえないストレスが原因で共感力は低下する場合がある」と指摘する。

また、Riess氏は、特に医学生では共感力が低下しやすいことが研究で明らかにされていると紹介。その一因として、医学生は実際に患者と接する機会が少ないことを挙げている。一方、同氏らが医師を対象に実施した研究では、患者と同じ目線の高さで座り、アイコンタクトを交えながら診察するといったシンプルなことに気を付けるだけで、医師の共感力が高まり、患者と医師の双方にベネフィットがもたらされることが明らかになったとしている。

さらに、「共感力はどのような環境でも高めることはできる」とRiess氏は強調する。例えば、職場で上司は部下のミスを探すのではなく、成果に目を向けるようにするだけで共感力を高めることにつながるという。また、「常に不満ばかりでネガティブな気持ちでいるよりも、共通の趣味がある人と一緒に楽しい時間を過ごすことで共感力は高まる」と同氏は助言している。(HealthDay News 2018年3月13日)

▼外部リンク
Empathy May Reside in Your DNA

HealthDay
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