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生体腎ドナーが「男性」「低所得者」で減少、米調査より

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2018年03月22日 AM10:00

生体腎ドナー、「男性」「低所得者」で減少

米国では過去10年間に男性の生体腎ドナーが減少したことが、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のJagbir Gill氏らによる研究から明らかになった。女性からの生体腎の提供率はほぼ横ばいで推移しており、男女問わず低所得者層で提供率が低下したことも分かった。この研究結果は「Journal of the American Society of Nephrology」3月8日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

Gill氏らは今回、2005~2015年の米国の移植登録および国勢調査のデータを分析した。その結果、この間の人口100万人当たりの生体腎提供率は男性で19.3件、女性では30.1件で、男性と比べて女性の方が44%高かった。また、2005年から2015年にかけて女性では腎提供率はほぼ横ばいで推移していたが、男性では25%低下していた。

さらに、世帯収入別では男女問わず収入が下位50%の層で腎提供率が減少していた。その一方で、収入が上位50%の層では女性からの腎提供率は横ばいまたは上昇していたが、男性では横ばいまたは減少していた。

Gill氏らは「各世帯の主な稼ぎ手である場合が多い男性や世帯収入が低い人で生体腎の提供率が低いのは、ドナーとして腎の摘出手術を受けるために休暇を取らなくてはならないなど仕事への影響が懸念されているからではないか」と指摘。米国では腎ドナーの医療費は補償されるが、交通費や休暇を取得することで減る賃金は補填されないため、金銭面の障壁が腎提供を難しくさせている可能性があるとの見方を示している。

米セントルイス大学のKrista Lentine氏によると、生体腎の提供は2004年の6,647件から2014年には5,538件に減少した。生体腎の供給は需要に追い付いておらず、米国腎財団(NKF)によれば腎移植を待機する患者が約10万1,000人いるのに対し、2014年の腎提供は生体腎と死亡腎を合わせても1万7,100件にとどまっているという。

Lentine氏は「今回の研究結果からは、腎を提供することに伴う医学的リスクへの不安よりも、金銭面の不安が腎提供者の意思決定に強く影響している可能性が示唆された」とする一方で、生体腎ドナーではわずかであるが有意な腎不全リスクがあることを示した研究がある点に言及し、「個人的には腎不全リスクへの懸念が腎提供の減少をもたらす主な原因ではないと考えているが、この問題についても認識し、対応することは重要だ」と話している。

さらに同氏は「臓器提供者に金銭を支払うことは違法であり、認められるべきではないが、ドナーに金銭的な負担をかけないようにする対策も必要だ」と指摘している。なお、米国移植財団(ATF)は、ドナーの金銭的な負担を軽減する上で期待できる方法の一つとして、臓器ドナーに10日間以上の有給休暇などを保障するコロラド州の法案を挙げ、「このような法律が施行されることで男女問わず生体腎を提供しやすくなる可能性がある」とするステートメントを公表している。(HealthDay News 2018年3月8日)

▼外部リンク
Money Underpins Drop in Kidney Donations Among Men and the Poor

HealthDay
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