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オピオイド系薬の過剰摂取によるER受診、米国で約30%増

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2018年03月20日 AM10:00

オピオイド過剰摂取によるER受診、米国全土で増加

米国全土でオピオイド系鎮痛薬の過剰摂取による救急治療室(ER)の受診者数が劇的に増加したことが、米疾病対策センター(CDC)傘下の米国立事故防止センター(NCIPC)のAlana Vivolo-Kantor氏らによる調査から明らかになった。同氏らによると、2017年9月までの約1年間にオピオイド系薬の過剰摂取によるER受診者は約30%増加したことが分かったという。詳細は「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」3月9日号に掲載された。


画像提供HealthDay

Vivolo-Kantor氏らは今回、2016年7月から2017年9月までの米国45州52管轄区域の救急科のデータを分析した。その結果、同期間にオピオイド系薬の過剰摂取が原因とみられる11歳以上の救急科受診者数は14万2,557人で、2016年7~9月と比べて翌年の同期間に29.7%増加したことが分かった。また、特に同薬の過剰摂取による死亡者数が多かった16州では、救急科の受診者数は平均で34.5%増加したことも明らかになった。

中でもオピオイド系薬の過剰摂取による救急科受診者が大幅に増加した地域は中西部で、同期間に70%増加していた。州別ではウィスコンシン州で109%、イリノイ州で66%、インディアナ州で35%、オハイオ州で28%、ミズーリ州で21%の増加が認められた。ただし、西部(40%)や北東部(21%)、南西部(20%)、南東部(14%)でも増えていたほか、男性で30%、女性で24%増加し、25~34歳で31%、35~54歳で36%、55歳以上で32%増加するなど、全ての集団において大幅に増えていた。

CDC長官代理のAnne Schuchat氏は、3月6日の記者会見で「年齢や性別、地域を問わずオピオイド系薬の過剰摂取が急速に広がっている。今回の調査結果は救急科で治療を受けた患者への対策を強化する必要があることに注意を促すものだ」と説明した。

一方、精神疾患に関連した研究の支援などを行っている団体である米Well Being Trustで最高戦略責任者を務めるBen Miller氏は「オピオイド乱用の蔓延という問題に対して包括的な対策が講じられていないことを考慮すれば、オピオイド危機が悪化の一途をたどっていることに驚きはない」と指摘。「オピオイドの乱用がみられ始めた当初の国の政策は、医師や薬局によるオピオイド系薬の処方を止めることに主眼を置いたものだった。しかし、その後、オピオイド系薬の依存症の患者と未治療の慢性疼痛に苦しむ患者のいずれにも助けとなる次の段階の政策は立案されていない」と話す。

さらに同氏は「オピオイドを必要とする原因に対処しないまま処方を制限すれば、依存症患者も疼痛患者も代替薬を求めるようになり、より危険性の高いフェンタニルやカルフェンタニル、ヘロインに手を出し過剰摂取に至る可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。

なお、今回の調査を実施したVivolo-Kantor氏らのグループは、オピオイド系薬の依存症や過剰摂取に対して取るべき対策の一つとして、依存症患者に対する治療サービスの拡充とともにオピオイド拮抗薬ナロキソンの使用を広げることを推奨している。(HealthDay News 2018年3月6日)

▼外部リンク
ER Visits for Opioid Overdoses Soaring: CDC

HealthDay
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