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下肢静脈瘤がある人は深部静脈血栓症発症リスクが約5倍に上昇

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2018年03月13日 AM10:00

下肢静脈瘤ある人はエコノミークラス症候群リスクが高い?

脚の皮膚の表面に静脈の一部が盛り上がり、かゆみや痛みを伴うこともある下肢静脈瘤は、加齢に伴い誰にでも起こり得る疾患の一つだ。しかし、問題は見た目や症状だけにとどまらない可能性があることが、長庚記念病院(台湾)のShyue-Luen Chang氏らによる研究から明らかになった。同氏らの研究では下肢静脈瘤のある人が「」としても知られる深部静脈血栓症(DVT)を発症するリスクは下肢静脈瘤がない人の約5倍に上ることが示されたという。詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」2月27日号に掲載された。


画像提供HealthDay

下肢静脈瘤は中高年層を中心に高い頻度でみられる疾患で、米国では成人の有病率は約23%と推定されている。この疾患は一般的に重度の健康リスクに関連することはまれであると考えられているが、同じ血管の疾患でも手足の静脈に血栓ができるDVTや、できた血栓が流れて肺の動脈を詰まらせる肺塞栓症(PE)、足の動脈が狭くなったり詰まったりする末梢動脈疾患(PAD)は重度の健康リスクとなることが分かっている。

そこでChang氏らは今回、台湾の国民健康保険プログラムの保険請求データを用いた後ろ向きコホート研究を実施し、下肢静脈瘤とDVTやPE、PADとの関連について検討した。

対象は、2001~2013年に下肢静脈瘤と診断された20歳以上の患者23万9,616人のうち、PAD、DVT、PEの診断歴がある患者を除外した21万2,984人(平均年齢54.5歳、女性69.3%)と、同数の年齢や性をマッチさせた下肢静脈瘤のない対照群(同54.3歳、70.3%)とした。追跡期間は7.3~7.8年だった。

Chang氏らがCox比例ハザードモデルを用いて解析した結果、下肢静脈瘤群では対照群と比べてDVTリスクが5.3倍、PEおよびPADのリスクが1.7倍であることが明らかになった。

この結果を踏まえ、Chang氏は「下肢静脈瘤がある患者に対しては、慎重に監視を続け、早期に評価する必要があるかもしれない」との見方を示している。

ただし、今回の研究では下肢静脈瘤が血栓の原因となっているのか、あるいは血栓のリスクを直接高めているのかどうかについては明らかにされていない。Chang氏は「下肢静脈瘤と疾患リスクとの関連については不明な点が多いため、今後そうした関連について解明することは重要だ」としている。

また、今回の研究は保険請求データを用いているため、「研究結果が当てはまるのは治療を必要とする重度の下肢静脈瘤患者に限定される可能性もある」とChang氏らは説明している。

専門家の一人で米レノックス・ヒル病院の心血管インターベンション治療医であるMaja Zaric氏は、「下肢静脈瘤は世界的に極めて有病率の高い疾患であるため、今後の研究では下肢静脈瘤が炎症や血栓形成にもたらす影響やDVTとの関連について詳細に調べる必要がある」と指摘。さらに「DVTやPEによる疾病負担を考慮すると、下肢静脈瘤患者の中でも特にリスクの高いのはどのような患者か、また重度の合併症を予防するためにはどの程度積極的かつ早期に治療を実施すべきなのかについても明らかにすべきだ」と話している。(HealthDay News 2018年2月27日)

▼外部リンク
Varicose Veins Tied to Higher Odds for Blood Clots

HealthDay
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