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特定健診・特定保健指導による生活習慣病抑制効果を証明-国循

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2018年01月30日 PM12:15

健診でメタボや心血管リスクに改善が見られるか

国立循環器病研究センターは1月26日、特定健康診査や特定保健指導の結果を集約したナショナルデータベースを分析し、特定健診および特定保健指導制度による生活習慣病抑制効果を明らかにしたと発表した。この研究は、国循予防医学・疫学情報部の中尾葉子上級研究員、宮本恵宏部長らの研究グループによるもの。研究成果は、米科学雑誌「PLOS ONE」オンライン版に掲載されている。

高血圧の患者数は約677万人、糖尿病は約317万人、脂質異常症は約147万人で、増加の一途をたどっている。これら生活習慣病の罹患により動脈硬化が進行することで、心疾患と脳血管疾患を発症する危険性は増大する。循環器病は国民医療費や要介護原因の大きな割合を占めており、その原因である生活習慣病の予防と治療は、国民の精神的・財政的負担の軽減、さらには国家財政の改善のために不可欠だ。

特定健診・特定保健指導制度は日本独自の制度であり、収集したデータは、生労働省のナショナルデータベース(NDB)に蓄積されている。研究グループは今回、腹部肥満および心血管リスクを有する国民に同制度による生活習慣改善指導を行うことで、メタボリックシンドロームや心血管リスクに改善が見られるかを検証した。

保健指導受診群、3年後のメタボ診断の割合を31%抑制

研究グループは、2008年に特定健診を受診した約2000万人のうち、2011年も特定健診を受診し、・脂質異常症治療薬・糖尿病治療薬を内服しておらず、糖尿病の基準を満たさない受診者のデータの中から保健指導対象者101万9,688人を抽出し、保健指導受診群11万1,779人と非受診群90万7,909人に分類して解析・比較を実施。その結果、受診群では非受診群に比べ、3年後にメタボリックシンドロームと診断される割合を31%抑制し、腹部肥満も33%改善。また、受診群は血圧・中性脂肪・ヘモグロビンA1cの高値、HDLコレステロール低値などの心血管リスクも有意に改善したという。


画像はリリースより

今回の研究成果より、個人の生活習慣改善に国家レベルの政策として介入がなされることで、メタボリックシンドロームや肥満、心血管リスクを長期的に抑制できる可能性が科学的に証明されたとしている。一方で、健康に対する意識が高い人ほど特定保健指導の受診や改善に積極的である可能性も考えられるという。研究グループは、今後もNDBなどのビッグデータを活用した研究により、日本の医療政策の効果を多角的に検証し、病気の予防および国民の健康に対する意識向上につなげることを目指すとしている。

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