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急性虫垂炎の治療、抗菌薬での治療を選ぶと答えた割合は1割未満

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2018年01月30日 AM10:00

急性虫垂炎の治療、9割超が手術を選択

もし自分が急性虫垂炎()になったら、抗菌薬による治療と手術のどちらを選ぶか―。この質問に対し、抗菌薬による治療を選択すると回答した割合は1割に満たなかったとする米国の調査結果が「JAMA Surgery」1月10日オンライン版に掲載された。調査を実施した米ノースダコタ大学医学部外科学のMarc Basson氏らは「どんな手術にもリスクはある」として、医師に対して抗菌薬治療の選択肢も示した上で患者と治療法について話し合うよう呼び掛けている。


画像提供HealthDay

急性虫垂炎とは下腹部の右側に位置する小さな器官である虫垂に炎症を起こした病態を指し、急激な痛みをもたらす。虫垂は破裂すると感染が腹部全体に広がる危険があるため、これまで手術で虫垂を切除することが望ましいとされてきた。ただ、軽症であれば抗菌薬のみで治療できる例も多い。いずれの治療法にも一長一短があり、手術には感染症を含むさまざまな合併症のリスクがある一方で、抗菌薬治療には入院が長期化したり治療が失敗したりするリスクがあるという。

Basson氏らは今回、米国の成人1,728人を対象としたインターネット調査で自分または自分の子どもが急性虫垂炎を発症した場合に選ぶ治療法について聞いた。治療法の選択肢は(1)、(2)、(3)抗菌薬治療の3つとした。

その結果、自分が急性虫垂炎を発症した場合については85.8%が腹腔鏡手術、4.9%が開腹手術、9.4%が抗菌薬治療を選択すると回答。一方、自分の子どもが発症した場合については79.4%が腹腔鏡手術、6.1%が開腹手術、14.5%が抗菌薬治療を選択すると回答した。手術を選択した人の多くは「できるだけ早く治療して再発を避けたい」ことを選択の理由として挙げていた。一方、抗菌薬治療を選択した人では「できるだけ手術を回避したい」とする人が多かった。

この結果を踏まえ、Basson氏は「侵襲性が比較的低い腹腔鏡手術にもリスクはある」と指摘。その上で「患者の立場からすれば、合併症のない軽症の急性虫垂炎を発症した場合には抗菌薬のみによる治療の選択肢も示されるべき」と強調している。

一方、今回の調査結果について、虫垂炎の治療経験が豊富な専門家らは「患者の虫垂炎治療に対する考え方について貴重な情報を提供する結果だ」と評価している。米レノックス・ヒル病院の外科医であるRobert Andrews氏は「この調査結果から、患者が治療で何を優先しているのかを外科医が把握しておく必要性が明確に示された」と指摘。また同氏は「患者が選ぶ治療がどのような影響をもたらすのかについて、患者が十分に理解できるよう手助けする責任があることも分かった」と話している。

米ホフストラ・ノースウェル大学のLauren Licata氏は「抗菌薬治療と手術のいずれにもリスクはある」とした上で、「抗菌薬の使用に関連した問題は複雑なため、患者に対する十分な説明が必要だ」と指摘。例えば、抗菌薬治療で炎症が軽減されても後に再び悪化する可能性があるほか、CT検査の実施回数が増え、腸内の「善玉菌」に悪影響を与える可能性があることにも留意すべきだとしている。(HealthDay News 2018年1月10日)

▼外部リンク
Surgery or Antibiotics for Appendicitis? Here’s What Patients Chose

HealthDay
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