医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > サイトメガロウイルスDNAワクチン、P3試験で評価項目を達成せず-アステラス

サイトメガロウイルスDNAワクチン、P3試験で評価項目を達成せず-アステラス

読了時間:約 1分38秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年01月25日 PM12:15

CMV抗体陽性の造血幹細胞移植患者対象P3試験で

アステラス製薬株式会社は1月22日、米Vical Incorporated社と共同で開発しているサイトメガロウイルス()DNAワクチン(開発コード:)について、CMV抗体陽性の造血幹細胞移植患者を対象に進めていた国際共同第3相HELIOS試験で主要評価項目と副次評価項目を達成しなかったことを発表した。

ASP0113は、造血細胞移植患者において、サイトメガロウイルス感染症およびそれに伴う合併症を抑制するためにデザインされた開発中の二価DNAワクチン。細胞性および体液性免疫応答を誘導するために、サイトメガロウイルスのリンタンパク質65および糖タンパク質B抗原をコードするもので、ポロキサマーをベースとした独自の送達システムとともに製剤化される。

同剤はVical社により開発され、米国と欧州で、臓器移植患者および造血細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染抑制の治療薬として、)の指定を受けている。アステラスは2011年7月に、同ワクチンの全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約をVical社と締結。アステラスが主導して開発を進めている。

ヘルペスウイルス科に属するウイルスであるサイトメガロウイルスは、米国において半数以上の成人が50歳までに感染すると言われており、発展途上国では米国以上に多くの割合の人が感染していると言われている。免疫が正常に働いている健康な人では大きな問題にならないが、免疫が十分に機能していない人では、サイトメガロウイルスの再活性化のリスクが高く、重度の感染症を引き起こす可能性があり、最悪の場合、死に至るケースもある。造血細胞移植患者や臓器移植患者、妊娠中に初回感染した母親から生まれた新生児では、リスクが非常に高くなる。

移植後1年間の全死亡数などからなる主要評価項目

HELIOS試験は、1:1無作為化二重盲検プラセボ対照試験。CMV抗体陽性の造血幹細胞移植患者514名が組み入れられ、造血幹細胞提供者と患者の適合度および造血幹細胞提供者のCMV抗体の有無によって層別化し、移植後1年間評価した。

主要評価項目の移植後1年間の全死亡数とCMV感染症の発現率からなる複合評価項目、副次評価項目の移植後1年間のCMV血症の初発までの期間について、ASP0113の有効性をプラセボとの比較により評価したが、いずれの評価項目においても有意差が認められなかったという。安全性プロファイルについて、同剤は忍容性に問題はなく、ワクチン群で最も多くみられた有害事象は局所部位反応だったとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー薬「アセノベル」承認-ノーベルファーマほか
  • 遺伝子治療レンメルディ、小児の異染性白質ジストロフィーでFDA承認-協和キリン
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症、補体(C5)阻害剤と併用投与する薬剤「ボイデヤ(R)」の国内初の承認を取得-アレクシオンファーマ
  • 多発性嚢胞腎、iPS病態モデルから見出した治療薬候補の前期P2試験開始-CiRAほか
  • 男性型脱毛症(AGA)治療薬、デュタステリド錠0.5mgZA「トーワ」発売-東和薬品