医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > 大気汚染が男性不妊の原因となる可能性

大気汚染が男性不妊の原因となる可能性

読了時間:約 1分44秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年12月07日 AM10:10

大気汚染で精子の質が低下する可能性

大気汚染が男性の不妊の原因となる可能性があることが、台湾人男性を対象とした研究で示された。この研究では微小粒子状物質PM2.5への曝露によって精子の形態異常がもたらされ、精子の質が低下することが示唆されたという。詳細は「Occupational & Environmental Medicine」11月21日オンライン版に掲載された。


画像提供HealthDay

研究を率いた香港中文大学公衆衛生・一次医療学部のXiang Qian Lao氏は「大気汚染は精子の形状およびサイズの異常と有意に関連していた。したがって、大気汚染は相当数のカップルに不妊をもたらしている可能性がある」としている。ただし、同氏は「この研究は観察研究であるため、大気汚染が原因で精子の質が低下するという因果関係を示したものではない」と強調している。

Lao氏らは今回、2001~2014年に検診を受けた15~49歳の台湾人男性6,475人(平均年齢31.9歳)のデータを分析した。この検診では精子の質(総数、形状、サイズ、運動率)も評価していた。PM2.5への曝露レベルは、対象者の居住地により3カ月単位で2年にわたって評価した。

その結果、喫煙、、年齢、体重などの影響を考慮しても、PM2.5への曝露と精子の形態異常との間に関連が認められ、2年間のPM2.5濃度(平均)が5μg/m3増えるごとに正常な形態の精子が1.29%減少し、正常な形態の精子の割合が下位10%になるリスクが26%増大した。

一方、PM2.5への曝露は精子濃度の上昇に関連することも分かった。これについて、Lao氏らは「身体が精子の質の低下を克服しようとする代償的な反応ではないか」との見方を示している。

大気汚染が精子に影響を及ぼす正確な機序は明らかにされていないが、PM2.5には精子損傷との関連が認められている重金属や多環芳香族炭化水素類などの物質が含まれているという。Lao氏は「PM2.5による大気汚染は世界に広がっているため、多くの男性が影響を受けている可能性がある」と指摘し、精子の質を改善するためにも世界的な大気汚染への対策が求められると主張している。

米レノックス・ヒル病院のTomer Singer氏によると、数十年前から精子の濃度および運動率の低下や形態異常の増加が認められていたが、原因を突き止めるのが困難だったという。米ノースウェルヘルスのManish Vira氏は「この研究は大気汚染と精子の異常との関連を裏付ける強いエビデンスとなる」と述べる一方、「このような影響がみられるのは大気が極度に汚染された地域に限定されるものと考えられる」としている。(HealthDay News 2017年11月22日)

▼外部リンク
Smoggy Air May Spawn Weaker Sperm

HealthDay
※掲載記事の無断転用を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • 米俳優の訴訟で話題のガドリニウム含有MRI用造影剤、脳神経への影響は認められず
  • 患者の満足度、新しい薬の処方や他の医師への紹介を断られた場合に最も低下
  • 大気汚染が男性不妊の原因となる可能性
  • ショ糖が心疾患・膀胱がんリスクを高めることを示唆した研究結果、米業界団体が隠蔽か
  • 遺伝子変異のあるアーミッシュは平均寿命が10年長く糖尿病が少ないことが明らかに