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急性骨髄性白血病、2つの遺伝子を標的とした根治を実現する治療法を開発-理研

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2017年10月30日 PM01:30

患者ごとに複数の異なる遺伝子異常が存在するAML

理化学研究所は10月26日、急性骨髄性白血病の一部症例において、発症に関わる遺伝子「」の異常と、治療抵抗性に関わる遺伝子「BCL-2」を突き止め、この2つの遺伝子を手がかりに根治を実現する治療法を開発したと発表した。この研究は、理研統合生命医科学研究センターヒト疾患モデル研究グループの石川文彦グループディレクターら国際共同研究グループによるもの。米科学雑誌「Science Translational Medicine」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

白血病の中でも成人に多い血液がんである急性骨髄性白血病()は、再発率が高いとされる。そのため、再発を防ぎ、根治を目指す治療法の開発が強く望まれているが、患者ごとに複数の異なる遺伝子異常が存在しており、そのうちのどれが白血病発症に不可欠か、また治療標的として最適かは、未解明な部分が多かったという。

FLT3遺伝子異常を持つ症例の約8割で白血病細胞を根絶

今回、研究グループはまず、患者から得られたさまざまな細胞を免疫不全マウスに移植して作出するヒト化マウスを用いて、多くの場合、造血幹細胞から少し成熟した前駆細胞の段階で、白血病細胞へ変化することを見いだした。さらに、ヒト化マウスから正常造血幹細胞と白血病幹細胞を取り出し、1幹細胞ごとの遺伝子解析を繰り返したところ、「FLT3」という遺伝子に異常が起きると、正常血液細胞が白血病細胞へと変わることが判明したという。

次に、FLT3遺伝子異常と他の遺伝子異常を同時に持つ19人の患者の病態をヒト化マウスで再現し、治療法の開発を目指した。ヒト化マウスにFLT3タンパク質の異常なシグナルを阻害する低分子化合物「」を投与したところ、19症例全てのヒト化マウス体内で患者由来白血病細胞が減少。そのうち、5症例では血液だけでなく、骨髄などの臓器でも白血病細胞が根絶したという。残る14症例のヒト化マウスでは、RK-20449に抵抗性を持つ白血病細胞が一部死滅せずに残ったが、この治療抵抗性の原因は、細胞が死なないよう、BCL2タンパク質が働くためであることを突き止めた。そこで、ヒト化マウスを用いて再び実験を行ったところ、RK-20449とBCL2阻害剤の併用により、FLT3遺伝子異常を持つ症例の約8割で、患者の白血病細胞を根絶できることがわかったという。

FLT3遺伝子に異常のある白血病の治療は、AMLの中でもとくに難しいことが知られている。今回の研究成果は今後、AML患者を救うための新たな治療法になるものと期待できる、と研究グループは述べている。

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