医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > 日ごとの血圧値の変動幅が大きい人、血圧値が安定している人より認知症リスク2倍超

日ごとの血圧値の変動幅が大きい人、血圧値が安定している人より認知症リスク2倍超

読了時間:約 2分4秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年08月22日 AM10:00

日によって血圧値が大きく変動する人は認知症リスクが高い?

血圧値が測定した日によって大きく異なる人は、認知症を発症するリスクが高い可能性が、60歳以上の日本人約1,600人を対象とした新たな研究で示された。日ごとの血圧値の変動幅が大きな人では、血圧値が安定している人と比べて認知症リスクが2倍超となることが分かったという。


画像提供HealthDay

この研究は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学の小原知之氏らが実施したもの。福岡県久山町の疫学調査「」に登録されている地域住民のうち、60歳以上で認知症のない男女1,674人を2007年から2012年まで5年間追跡した。対象者には高血圧患者も含まれており、約40%が降圧薬を使用していた。

対象者は研究開始時に28日間(中央値)にわたって毎朝3回、家庭血圧計で血圧を測定した。小原氏らは今回、3回の測定値の平均値をその日の血圧値として変動係数を求め、日ごとの血圧値〔収縮期血圧(SBP)値および拡張期血圧(DBP)値〕の変動幅の大きさと、認知症リスクとの関係について調べた。

その結果、追跡期間中に194人が認知症を発症し、そのうち47人が血管性認知症、134人がアルツハイマー病だった。日ごとのSBP値の変動幅を「最も大きい」から「最も小さい」まで4段階に分けたところ、変動幅が最も大きい人のグループでは、最も小さい人のグループと比べて全体的な認知症のリスクが2.27倍、血管性認知症のリスクが2.79倍、アルツハイマー病のリスクが2.22倍になることが示された。

また、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことによる認知症リスクの上昇は、高血圧患者だけでなく正常血圧の人でも認められた。小原氏は、今回の研究結果で最も重要なのは「日本の一般的な高齢者において、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことは、認知症発症のリスク因子であることが示された点だ」と説明。ただし、この研究は観察研究であるため、小原氏は「血圧の変動幅が大きいことが原因で認知症を発症することが示されたわけではない」と注意を促している。その上で「もし血圧値の変動幅が大きければ、それを安定化させることが認知症の予防に役立つ可能性はある」との見方を示している。

この研究結果を受け、米ウェイル・コーネル医科大学のCostantino Iadecola氏は「(小原氏らのグループは)研究に家庭血圧計を使用することで、血圧の変動幅と認知症リスクとの関連を明確に示すことができた」と評価。「血圧の変動幅を小さくする対策を講じれば、脳の血管の健康を維持できるかもしれない」との考えを示し、そのタイミングについて「高齢になってからではなく、認知機能の低下が始まる中年期から手を打つことが望ましい」と話している。

その一方でIadecola氏は、小原氏らの研究論文に関する論評で、血圧値は測定時の体調や使用している薬剤による影響を受けやすく、降圧薬の飲み忘れなどで変動が生じる場合もあるなど、研究には複数の限界があることを指摘。「今後、より大規模かつ多様な集団で今回の研究結果を検証する必要がある」としている。

この研究の詳細は「Circulation」8月8日号に掲載されている。(HealthDay News 8月7日)

▼外部リンク
Blood Pressure Fluctuations Tied to Dementia Risk in Study

HealthDay
※掲載記事の無断転用を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • 風邪による咳を抑える目的で市販の咳止め・風邪薬を飲むことは推奨されない-米学会
  • 抗凝固薬ワルファリン、がんの予防効果が示唆
  • 免疫チェックポイント阻害薬の効果を腸内細菌叢が左右する可能性
  • 胃がん、ピロリ菌除菌後もプロトンポンプ阻害薬の長期使用で発症リスク上昇の可能性
  • 歯磨き粉中のトリクロサン、歯ブラシに蓄積し持続的な曝露につながる可能性