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通算100例目の心臓移植を実施-国循

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2017年07月21日 PM01:45

2010年の改正臓器移植法施行で国内の心臓移植件数は増加

国立循環器病研究センターは7月19日、通算100例目の心臓移植を7月12日に実施したと発表した。

南アフリカで最初に心臓移植が成功した1967年から、世界では移植医療の実践や研究が重ねられ、現在、心臓移植は末期心不全の外科治療として確立されている。しかし、日本では1968年の「和田心臓移植」の影響を受けて、心臓移植は長年行われておらず、国循の曲直部元総長や川島名誉総長らの働きかけにより1997年に臓器移植法が成立・施行、1999年2月に心臓移植が再開された。

同法は本人の同意が必須などの要件が厳しく、国内での移植件数が増加しなかったため、患者団体や関係学会が中心となって、法改正への取り組みが盛んになった。さらに、国内の死体臓器移植を増加させ、自国での脳死移植を推奨するイスタンブール宣言が2008年に採択されたことで、法改正への動きが加速。2009年7月に改正臓器移植法が制定され、2010年7月に施行された。その結果、家族の同意による脳死臓器提供や15歳未満の小児からの脳死臓器提供が可能となり、国内の心臓移植件数は増加した。

移植件数以上に待機人数が増加、待機期間が長期になるケースも

国循は、1999年に国内2例目・3例目の心臓移植を実施し、これまで国内最多の心臓移植を実施。なかでも、2回の2例同日移植や成人先天性心疾患患者に対する移植、6歳未満の小児への移植などさまざまな症例を経験している。また、移植後10年生存率も95.2%と、良好な成績をあげている。

現在、心臓移植の認知向上に伴い、移植件数以上に待機人数が増加。待機期間が数年もの長期になるケースが増えている。(VAD)の性能向上により、長期の待機を乗り越えて移植を行うことも可能になったが、待機期間縮減のためにはドナーの増加が必要である。また、小児の心臓移植については、ドナー数が絶対的に不足しており、多額の費用を募金などで工面して海外渡航移植を受けるケースが非常に多い。海外で汎用されている小児用VADが2015年に承認されたものの、長期の待機に耐えられるわけではない。国循は、「医療関係者も含めドナー増加のための啓発が一層必要」と述べている。

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