医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > テクノロジー > 大腸がん対象のAI技術を用いたリアルタイム内視鏡診断補助システムを開発-国がんら

大腸がん対象のAI技術を用いたリアルタイム内視鏡診断補助システムを開発-国がんら

読了時間:約 1分10秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年07月12日 PM12:00

大腸内視鏡検査での見逃し回避を目指す

国立がん研究センターと日本電気株式会社()は7月10日、)を用いて、大腸がんおよび前がん病変(大腸腫瘍性ポリープ)を内視鏡検査時にリアルタイムに発見するシステムの開発に成功したと発表した。2017年10月に行われる日本内視鏡学会総会にて、学会発表される予定。


画像はリリースより

大腸がんの前がん病変である大腸腫瘍性ポリープは、内視鏡検査時に見つけ出して摘除することで大腸がんへの進行を抑制する。ポリープは内視鏡医が肉眼で見つけるが、サイズが小さかったり形状が認識しにくかったりする場合は、見逃されることもある。

前がん病変と早期がんの発見率98%

同システムは、大腸の内視鏡検査時に撮影される画像で大腸がんおよび前がん病変をリアルタイムに自動検知し、内視鏡医の病変の発見をサポートする。臨床現場でリアルタイムに医師にフィードバックするため、画像解析に適した深層学習を活用したAI技術と独自の高速処理アルゴリズム、画像処理に適した高度な画像処理装置を用いて、1台のPCで動作するプロトタイプも開発された。

AI技術の学習には、同センター中央病院内視鏡科による所見が付けられた約5,000例の大腸がんおよび前がん病変の内視鏡の静止画像および動画を対象とし、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」を用いて、新たな内視鏡画像を解析した。その結果、前がん病変としてのポリープと早期がんの発見率は98%という結果となったという。

今回開発されたシステムの開発は、病変の見逃しの回避や検査の質の向上だけでなく、内視鏡医の負担の軽減につながると考えられる。国がんは今後も、同中央病院内視鏡科に蓄積される1,600例以上の肉眼では認識困難な平坦・陥凹性病変をAIに学習させ、プロトタイプの精度を上げていきたいとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 テクノロジー

  • ステージ4肺がん、電カルデータから高精度に予後予測するAIを構築-近大ほか
  • ペット型ロボットは、無菌室での長期療養患者への心理面支援に「有効」-東京医科大
  • 介護保険の質疑応答、生成AIチャットボットのシステムを開発-岡山大
  • 視覚障害者を支援、AI活用の写真撮影システム「VisPhoto」開発-大阪公立大ほか
  • 子宮肉腫の術前診断、AIで自動化するシステムを開発-東大ほか