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アルツハイマー病の原因遺伝子を多数推定-東北大

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2017年06月30日 PM02:50

遺伝子量変化に弱い特殊な遺伝子「」に着目

東北大学は6月26日、アルツハイマー病患者に特有のゲノム領域に含まれる「オオノログ」という特殊な遺伝子に着目し、病気の原因となる遺伝子を多数推定したと発表した。この研究は、同大大学院生命科学研究科の牧野能士准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Molecular Biology and Evolution」電子版に掲載された。


画像はリリースより

近年、ヒトゲノム中のコピー数多型()が病気の遺伝的要因として注目されている。CNVとは、個人間で数に違いのあるゲノム中の領域のこと。このCNV領域中に遺伝子が存在すると遺伝子量が変化するため、遺伝子量変化に弱い遺伝子を含むCNVは、病気の原因となる。全ゲノム重複に由来する遺伝子群オオノログは、遺伝子量変化に弱く、オオノログを含むCNVは病気との関連が強いことがわかっていた。

統合失調症など、他の病気への応用に期待

研究グループは、遺伝子量の変化が発症の原因のひとつと考えられているアルツハイマー病患者で報告されたCNV中の遺伝子群を対象に、遺伝子機能や遺伝子発現量を調査。オオノログに注目した原因遺伝子推定の有効性を検証した。その結果、オオノログは既知アルツハイマー病原因遺伝子群と同様、遺伝子破壊により神経系に異常をきたす遺伝子が多く、脳組織での平均発現量が他組織よりも高いことが明らかになった。

今回の結果は、遺伝子量の変化が関与する病気で、オオノログを用いた原因遺伝子の推定が有効であることを示唆している。例えば、統合失調症などアルツハイマー症以外にも遺伝子量変化が原因となる病気が報告されており、今回の手法の他の病気への応用が期待される、と研究グループは述べている。

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