医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 脂肪萎縮性糖尿病がSGLT2阻害薬によって著明に改善-東北大

脂肪萎縮性糖尿病がSGLT2阻害薬によって著明に改善-東北大

読了時間:約 1分13秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年03月23日 PM01:15

重症かつ通常の治療では改善が難しい脂肪萎縮性糖尿病

東北大学は3月21日、難病に指定されている脂肪萎縮性糖尿病が、糖尿病の内服薬であるSGLT2阻害薬によって著明に改善したことを示す研究結果を発表した。この研究は、同大学病院糖尿病代謝科の今井淳太講師、川名洋平医師、片桐秀樹教授らのグループによるもの。研究成果は、米国の学術誌「Annals of Internal Medicine」に掲載された。


画像はリリースより

脂肪萎縮症は、先天性あるいはAIDSの治療薬などにより後天性に発症する、重症糖尿病の一種。通常の糖尿病治療では改善が難しく、厚生労働省から難病にも指定されている。脂肪萎縮症は、本来脂肪組織から分泌される善玉アディポサイトカインであるレプチンなどが減少することにより、脂肪肝などの著明な内臓脂肪蓄積、、重症糖尿病を呈する。皮下注射によるレプチン補充療法が有効な治療法だが、高価であり、また皮下脂肪がないことによる注射時痛で治療継続が困難な場合がある。

SGLT2阻害薬の投与で脂肪肝が減少、インスリン抵抗性が改善

今回研究グループは、長期にわたってコントロール不良な糖尿病が持続していた先天性全身性脂肪萎縮症に対して、新規経口糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬イプラグリフロジンを投与したところ、脂肪肝が減少し、糖尿病、インスリン抵抗性が著明に改善。SGLT2阻害薬は脂肪燃焼による内臓脂肪減少効果が報告されており、同症例でもそのことがインスリン抵抗性、糖尿病の改善につながったと考えられるという。

SGLT2阻害薬は通常診療で用いられる保険適応となっている治療であり、比較的安価に行うことができるうえ、内服薬であることから注射時痛もない。これらのことから研究グループは、同治療が脂肪萎縮性糖尿病に対して、病態改善メカニズム、医療経済、治療アドヒアランスの各面からきわめて有用であり、有望な治療選択肢となるとしている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 子の食物アレルギーは親の育児ストレスを増加させる-成育医療センター
  • 認知症のリスク、歯の喪失だけでなく咀嚼困難・口腔乾燥でも上昇-東北大
  • AI合成画像による高精度な「網膜疾患」の画像診断トレーニング法を開発-広島大ほか
  • 腹部鏡視下手術の合併症「皮下気腫」、発生率・危険因子を特定-兵庫医大
  • 自閉スペクトラム症モデルのKmt2c変異マウス、LSD1阻害剤で一部回復-理研ほか