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“ディオバン問題”一審判決 ノバルティス社ならびに元社員の双方「無罪」に

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2017年03月17日 PM12:16

データの改ざんは認定も「医薬品の購入意欲を喚起・昂進するもの」には当たらず

アンジオテンシンII受容体拮抗系高血圧治療薬・ディオバン(一般名・)を巡る医師主導の臨床研究でデータを改ざんしたとして、薬事法(現・医薬品医療機器法)の第66条に基づく誇大記述・広告違反に問われたノバルティスファーマの元社員・白橋伸雄被告(66)と同法両罰規定により起訴された法人としてのノバルティスファーマに対する判決公判が3月16日午後、東京地裁第528号法廷で開かれ、辻川靖夫裁判長は白橋被告と法人としてのノバルティスファーマともに無罪とする判決を言い渡した。


撮影:

被告側は裁判で一貫して無罪を主張し、昨年12月の公判で検察側は白橋被告に懲役2年6月、ノバルティスに罰金400万円を求刑していた。

“査読”理由に「薬機法66条違反には当たらず」

判決理由の説明で辻川裁判長は、起訴事由となった京都府立医科大学主導のKyoto Heart Study(KHS、統括責任者:同大循環器内科・松原弘明元教授)で、ノバルティスのディオバンに有利になるイベント発生数の改ざんが行われていたことについて、エンドポイント評価委員会の判定結果を一貫して保有していたのは白橋被告本人で、被告がディオバンの販促目的で故意に改ざんしたデータを医師側に提供していたと認定。公判で一貫して白橋被告が「故意の改ざんは行っていない」としていた主張については信用性がないとの判断を示した。

そのうえで、医薬品医療機器法の第66条の誇大広告に当たるかについての判断に関して、前身となる1914年施行の売薬法から戦後の薬事法、その後の薬事法改定から医薬品医療機器法に至る成立過程に関する検討などから、第66条で言及する「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布」とは、
(1)医薬品の購入意欲を喚起・昂進するもの
(2)特定医薬品の商品名が明らかにされている
(3)一般人が認知できる状態にあるもの
の3要件すべてを満たすものと指摘。

辻川裁判長は今回のKHS論文について、このうち(2)、(3)の要件を満たすものの、査読のある学術誌への論文掲載である以上、白橋被告による故意の改ざんやノバルティス側が論文を販促に利用しようとしていた意図があったとしても、(1)の要件を満たすとは言い難いことから、第66条違反に当たらないとの判断を示した。

ノバルティス「この問題の本質は適切な対応を取らなかったことにある」

今回の判決についてノバルティスファーマは同日夕、同社HPにコメントを発表し、「無罪判決ではありますが、弊社はこの問題の本質は、医師主導臨床研究において、弊社が適切な対応を取らなかったことにあると認識しております」と言及。これまでも再発防止策として医師主導臨床研究の支援方法を全面的に改め、新しい研究助成方針を導入するなど多くの社内改革に取り組んできたことを強調し、「今後も社会的責任を果たしていくためにも企業風土・文化の改善を継続して行ってまいります」としている。(村上和巳)

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