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ALK阻害剤「アレセンサ」、台湾FDAより承認を取得-中外製薬

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2017年03月01日 PM01:30

中枢神経系において活性があり、脳転移に対しても有効性を確認

中外製薬株式会社は2月27日、同社の100%子会社である台湾中外製薬股份有限公司が、(R)」について、台湾衛生福利部食品薬物管理署(台湾FDA)より、「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の進行非小細胞肺癌()」に対する承認を取得したと発表した。

ALK融合遺伝子の発現は、NSCLCの約5%で報告されている。この融合遺伝子が発現している細胞は、恒常的にALKチロシンキナーゼ活性が上昇しており、細胞増殖が制御されず、細胞が腫瘍化していると考えられている。

アレセンサは、中外製薬が創製したALK選択性が高い経口のALK阻害剤。チロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することにより腫瘍細胞の増殖を阻害し、細胞死を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する。さらに、薬剤を脳から能動的に排出するポンプである血液脳関門で認識されないため、中枢神経系において活性があり、脳転移に対しても有効性が確認されている。

台湾において、ALK陽性NSCLC患者の治療に貢献

今回の台湾承認の基となったのは、第1/2相臨床試験のデータ。ひとつ目のNP28761試験は、クリゾチニブ投与後に病勢進行が認められたALK陽性NSCLC患者87名を対象とし、アレセンサの有効性と安全性を検討する北米で実施されたシングルアームオープンラベル多施設共同第1/2相臨床試験。ふたつ目のNP28673試験は、クリゾチニブ投与後に病勢進行が認められたALK陽性NSCLC患者138名を対象とし、アレセンサの有効性と安全性を検討した、グローバルで実施されたシングルアームオープンラベル多施設共同第1/2相臨床試験である。

いずれの試験も、患者はアレセンサを1回600mg 1日2回、経口投与された。主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)判定による奏効率(ORR)。主な副次的評価項目は、奏効期間(DOR)、安全性だった。

試験の結果、NP28761試験のORRは42.5%、DOR中央値は14.9か月。一方、NP28673試験のORRは44.9%、DOR中央値は15.2か月だった。また、アレセンサの安全性プロファイルは、これまでに行われた臨床試験の成績と一致。一般的なGrade 3以上の有害事象は、血中CPK上昇5%、ALT上昇4.8%、AST上昇3.6%、呼吸困難3.6%だったという。

アレセンサは現在、米国、クウェート、イスラエル、香港、カナダ、韓国、スイス、欧州および台湾にて、「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の進行(転移性)非小細胞肺癌」を効能・効果とした承認を取得。国内では「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果に、販売名「アレセンサ(R)カプセル150mg」として、中外製薬が販売している。

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