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腸感染症への糞便移植、抗生物質投与と同程度の効果

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2017年01月24日 AM10:00

腸感染症に対する「」の効果に疑問

クロストリジウム・ディフィシル感染症の再発例の治療において、浣腸による糞便移植には、抗生物質の経口投与を上回る効果はみられないことが、カナダの研究で明らかにされた。糞便移植と現行の標準治療を直接比較した研究は今回が初めてだという。研究の筆頭著者であるカナダ、トロントの大学健康ネットワーク(UHN)のSusy Hota氏は、「いずれの治療も効果はほぼ同じに見える。患者の半数にしか効果がみられなかった」と述べている。


画像提供HealthDay

C. ディフィシル感染症は、下痢などの腸症状を引き起こす疾患。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、病院や介護施設で抗生物質を使用している患者(特に高齢者)に生じやすいという。健康なドナーから採取した糞便を患者の腸に移植する治療は、腸内の微生物叢を修復する効果があるとされている。C. ディフィシル感染症には従来、別の抗生物質である経口バンコマイシンによる治療が実施されているが、約20%に再発がみられる。近年の研究では、糞便移植が感染再発の阻止に有効であることが示唆されている。

米ブラウン大学アルパート医学部(プロビデンス)助教授のColleen Kelly氏は、自身の臨床経験では85~90%の患者にFMT(糞便微生物層移植)の効果が認められていると話す。今回のカナダの研究で異なる結果となった理由は、投与方法(浣腸による1回投与)や糞便の投与量の多さなどが考えられるという。Hota氏らは、至適な用量および送達方法、ドナーの選定、治療時期などを探究するため、さらに綿密な研究が急がれると述べている。

今回の研究では、再発性C. ディフィシル感染症患者30人を対象とし、14人に標準治療(ただし2人が脱落)、16人に糞便移植を実施。盲検化試験ではないため、患者と研究者はどちらの治療が実施されたかを認識していた。いずれの群にも14日間バンコマイシンを経口投与した後、糞便移植群には浣腸による移植を1回実施し、標準治療群には4週間にわたり抗生物質を漸減投与した。

120日間の追跡後、中間解析で結果に差が認められなかったため、試験を中止した。糞便移植群の半数以上、標準治療群の40%以上に再発がみられた。

「経口バンコマイシンに比べ、糞便移植によるリスク低減は認められない」と、Hota氏は述べる一方、糞便移植の利点は患者に抗生物質を投与しなくてよいことであると指摘し、「糞便移植に効果がないというわけではない」と付け加えている。この知見は「Clinical Infectious Diseases」2月1日号に掲載された。(HealthDay News 2017年1月13日)

▼外部リンク
Study Questions ‘Fecal Transplant’ Treatment for Gut Infection

HealthDay
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