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動作アシスト機器の効果を検証するラット学習実験モデルを開発-産総研ら

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2017年01月18日 PM12:15

強制的に応答動作を引き起こすことで感覚運動の学習過程に介入

産業技術総合研究所は1月13日、動作アシスト機器の運動機能補助効果を検証するためのラット学習実験モデルを開発し、強制的に応答動作を引き起こすことによって感覚運動の学習過程に介入できることを実証したと発表した。


画像はリリースより

この研究は、同研究所人間情報研究部門身体適応支援工学研究グループの井野秀一研究グループ長、金子秀和主任研究員が、筑波大学システム情報系の長谷川泰久准教授(現・名古屋大学教授、筑波大学客員教授)、大阪大学大学院生命機能研究科の田村弘准教授らと行ったもの。研究の詳細は、国際専門誌「Learning & Behavior」オンライン版に掲載されている。

近年、動作アシスト機器をリハビリテーションに活用することへの期待が高まっているが、障害の程度などを一定にすることが難しく、運動機能補助効果のメカニズムの検証は困難である。一方、これまでにラットもヒトと同様に、異なる刺激に対する正しい応答動作を学習できることがわかっていた。

ロボット技術を応用したニューロリハビリテーション技術への貢献に期待

そこで、研究グループは今回、これまでに開発していたラット用学習実験装置にアクチュエーターを組み込んで強制的に応答動作を引き起こせるようにし、動作アシスト機器の効果を検証するための実験モデルを構築した。この実験モデルで健常なラットを用いて実験した結果、正答となる応答動作を引き起こすより、誤答となる応答動作を引き起こす介入のほうが、正答となる応答動作を学習する時間が短いことがわかったとしている。

今後は、ラットの応答動作に伴う運動指令のタイミングを検出し、そのタイミングに同期して動作アシスト機器を駆動した場合の効果を検証する。また、脳損傷モデル動物でも同様にして学習に介入できるかどうかを検証。さらに、神経系の活動を同時計測して学習促進効果のメカニズムを明らかにするとしている。これらにより、神経科学的な知見を活かして、ロボット技術を応用したニューロリハビリテーション技術への貢献を目指すと、研究グループは述べている。

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