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認知症の簡易チェック法TOP-Qで診断を容易に-東京都大森医師会

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2017年01月17日 AM10:00

2項目の問診と3つの観察点から2~3分で実施できる認知症簡易チェック法

東京都の大森医師会が2014年に開発した認知症簡易チェック法のTOP-Q(Tokyo Omori Primary Questionnaire for Dementia)が、認知症の診断に有効なことが、大田区三医師会が実施した同区特定健診・長寿検診を受診者の結果からわかった。くどうちあき脳神経外科クリニックの工藤千秋氏が第35回日本認知症学会(2016年12月1~3日)で発表した。


画像はWebサイトより

TOP-Qは、2項目の問診と3つの観察点から2~3分で実施できる認知症診断法。問診2項目は時事計算・誕生日記憶と山口式キツネ・ハト模倣テストからなる。時事計算は、ほぼ50年前、ほぼ5年後に起きる事象などを尋ねる(例:50年前の東京オリンピックの時、5年後の東京オリンピックの時、それぞれ何歳?)。誕生日は相手の誕生日を尋ねるもの。山口式キツネ・ハト模倣テストは、群馬大学大学院保健学研究科教授の山口晴保氏が考案した影絵のキツネ、ハトの形を医師が手で作り、それを真似させるもの。キツネの形は重度認知症ではほぼできないことが多く、ハトについては軽度認知症でも多くが間違え、)でも約半数が間違えるといわれている。

時事計算・誕生日記憶は合計3つの設問のいずれかひとつでも間違えた場合は1点、キツネ、ハトの模倣はそれぞれで間違えた場合は1点と換算する。合計は0~3点となり、1点以下は正常あるいはMCI、2点以上は認知症の疑いとしている。また、3つの観察項目は、質問などを投げかけられた際に、家族や周囲を頼りにして振り向く動作である「振り向き徴候」、両手を水平に肩の高さまで上げると、片方が下がる「ハンド・バレー徴候」、バンド・バレー徴候を調べる際に持ち上げた手のひらを内外に回転させる「回内・回外運動」を観察する。「振り向き徴候」がある場合はアルツハイマー型認知症、「ハンド・バレー徴候」がある場合は脳血管性認知症、「回内・回外運動」が異常な場合はレビー小体型認知症の可能性をそれぞれ疑う。これらの調査は、対象者が身構えないよう、注意をそらす言葉なども交えながら、日常診療の中で自然な会話の流れで行う。

TOP-Q得点はMMSE得点、介護度情報と有意に相関

工藤氏は2014年7~9月に大田区特定健診・長寿検診を受診した50歳以上の2,105人(平均年齢73.1±9.7歳)全員にTOP-Qを実施したデータと、認知症の重症度評価スケールであるMMSE実施者1,071人、介護度情報取得者674人との間で、2点以上と1点以下をカットオフ値として感度、特異度、相関比、判別率を比較検討した。なお、これらの算出に当たっては(1)TOP-Q得点とMMSE得点との間ではKendall順位相関係数の算出、(2)被験者をMMSE得点によって正常群・MCI群(同得点24点以上)、認知症群(同得点23点以下)の2群に分け、ROC曲線から推定されたカットオフ値による感度・特異度の算出、(3)TOP-Q項目の認知症有無の判別における影響力の検討については数量化Ⅱ類を行い、さらに各項目間のテトラコリック相関係数を算出、という統計手法を用いた。

まず、TOP-Q2点以上でMMSE得点と比較できる受診者ではTOP-Qは感度0.95、特異度0.86、判別率0.93で、MMSEとの間では有意な相関が認められた(p<0.01)。また、観察3項目のうち「振り向き徴候」とMMSEの間では、MMSEで軽度から中等症の認知症と診断された症例では、感度0.821、特異度0.951と有意な相関が認められた(p<0.01)。さらにTOP-Q得点と介護度情報がマッチングできた受診者での検討では、要介護以上で感度0.92、特異度0.93、判別率0.89と、ここでも有意な相関が認められた(p<0.01)。

これらの結果から工藤氏は「TOP-Qは認知症の早期発見や介護度予見を容易にし、介護認定申請につなげられる可能性がある」との見解を表明した。

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