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ローズマリー由来のテルペノイド・カルノシン酸、アルツハイマー病を抑制-東京工科大

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2016年12月14日 PM12:00

ベータアミロイド蛋白質の蓄積を抑制する薬剤や食品由来の物質求められる

東京工科大学は12月12日、ローズマリー由来のテルペノイド・カルノシン酸がアルツハイマー病を抑制することを発見したと発表した。この研究は、同大学応用生物学部の佐藤拓己教授らの研究チームによるもの。研究成果は、科学誌「Cell Death and Disease」11月24日号に掲載された。


画像はリリースより

アルツハイマー病は、記憶の中枢の海馬を中心に脳に広範な変性が起こる慢性の病気で、認知症患者の約7割を占めている。老化などによるベータアミロイドと呼ばれる蛋白質の異常蓄積が原因とされており、新たな治療法や予防医療の推進が求められている。

現在臨床応用されている「ドネペジル」や「メマンチン」などの薬剤は、原因となるベータアミロイド蛋白質の蓄積を抑制しないため、臨床ではこれを抑制する薬剤や食品由来の物質が求められている。

アルツハイマー病の予防治療に応用の可能性

研究グループが、アルツハイマー病モデルマウスを用いてカルノシン酸の認知症抑制作用を検討したところ、カルノシン酸を経口投与すると、脳の中でも特に海馬と呼ばれる神経細胞におけるベータアミロイド蛋白質の沈着が有意に減少することがわかった。また、カルノシン酸はマウスの神経細胞の変性を抑制し、記憶機能を回復させることも確認。これは、カルノシン酸が転写因子「」を活性化した結果、ベータアミロイド蛋白質の沈着を防ぎ神経変性を抑制したことを示しているという。

古くから欧州では、カルノシン酸などの各種テルペノイドを高濃度で含むローズマリーの葉などが食用や薬用に広く用いられてきたが、今回の研究によって、ハーブ・ローズマリー由来のカルノシン酸が、アルツハイマー病の予防治療などに応用できる可能性が示唆された。今後、医薬品や健康食品への応用、新たな治療法の開発などを目指すと、研究グループは述べている。(遠藤るりこ)

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