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アルツハイマー病患者の脳に蓄積するアミロイドβ、心不全のリスクも上昇させる可能性

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2016年12月08日 AM10:00

アルツハイマー病にみられるプラークは心臓にも有害

アルツハイマー病患者の脳にプラークを形成するアミロイドβと呼ばれる蛋白断片が、心筋を硬化させ、心不全リスクを上昇させる可能性があることが新たな研究で報告された。アルツハイマー病患者の心臓ではアミロイドβの値が高いことが判明したという。


画像提供HealthDay

米ハーバード大学医学部ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(ボストン)准教授のFederica del Monte氏は、「一部の心不全は、心臓のアルツハイマー病といえるものであることがわかった」と述べている。

今回の研究では、アルツハイマー病患者22人(平均年齢79歳)を、健康な対照群35人(平均年齢78歳)と比較した。その結果、アルツハイマー病患者は左心室壁に肥厚がみられ、左心室が血液を送り出す前に膨張して血液を取り込む能力が低い傾向がみられた。これは、「駆出率が保たれた心不全(HFPEF)」と呼ばれる疾患に直接的に関連するものである。

米テンプル大学(フィラデルフィア)のAlfred Bove氏によると、このタイプの心不全では、心室が硬化して効率的に血液を取り込めなくなる。さらに、アミロイドβの蓄積もこの疾患に寄与するという。「心筋に何かが沈着すると、さらに硬化が進む。適切に弛緩できなくなり、心筋の収縮力に全く問題がなくても心不全を引き起こす」と、同氏は説明する。

この知見に基づき、アルツハイマー病患者を担当する医師は心疾患やその他の臓器不全にも注意する必要があると、del Monte氏はいう。「アルツハイマー病患者には心疾患が併存する可能性が高く、その他の臓器にも障害の可能性がある。脳だけの問題ではなく、全身の疾患である」と同氏は述べている。

アルツハイマー病患者は腸、、筋肉などの他の組織にもアミロイドβ値の増大がみられるという。アミロイドβは多数の組織に沈着しており、沈着した部位には影響があるはずだと、Bove氏は指摘する。その悪影響は、アミロイドβが身体のカルシウム利用に影響を及ぼすことによるものだと考えられる。カルシウムは神経伝達と心筋収縮のいずれにも重要な栄養素であるという。

心臓のアミロイドβ沈着についてさらに詳しく解明するには、さらに大規模な研究で今回の結果を再現する必要があると、del Monte氏とBove氏は述べている。現時点ではアルツハイマー病患者の心臓障害に対して有効な治療法はないという。

今回の研究は「Journal of the American College of Cardiology」オンライン版に11月28日掲載された。(HealthDay News 2016年11月28日)

▼外部リンク
Alzheimer’s Protein Plaques May Also Harm the Heart

HealthDay
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