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次世代PCSK9阻害薬、年2~3回の注射でLDLコレステロールの管理可能か

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2016年11月28日 AM10:00

年2回注射のLDLコレステロール降下薬がまもなく実現か

毎日薬を飲まなくても、年に2~3回クリニックで注射を受ければLDLコレステロールを管理できるようになるかもしれない。この研究結果を発表した英インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生学教授のKausik Ray氏らによると、この注射薬Inclisiranにより、LDLコレステロールの有意かつ持続的な低減が得られたという。本知見は米ニューオーリンズで開催された米国心臓協会(AHA)年次集会で11月15日発表された。


画像提供HealthDay

同会議で発表された別の臨床試験では、Inclisiranと同クラスのコレステロール降下薬であるPCSK9阻害薬エボロクマブをスタチンと併用することにより、スタチン単独に比べて、コレステロール値に60%近い低減が認められた。研究を率いた米クリーブランド・クリニック(オハイオ州)のSteven Nissen氏によると、これにより8割の患者で動脈硬化の回復が認められたという。

「Journal of the American Medical Association()」オンライン版にも掲載されたこの研究では、冠動脈疾患患者846人の半数にスタチンを単独で投与し、半数にエボロクマブとスタチンを投与した結果、併用群の約81%に動脈プラーク容積の低減がみられた。

しかし、エボロクマブなどの第一世代のPCSK9阻害薬は年間12~24回の注射が必要である。一方、Inclisiranは次世代のPCSK9阻害薬であり、遺伝子レベルで作用して細胞がPCSK9を産生する段階から妨げるという。

Inclisiranの臨床試験では、500人を対照群またはInclisiranをそれぞれ異なる用量で投与する4群に割り付けた。Inclisiranを300 mg以上1回投与すると、LDLコレステロールに51%の低減がみられ、90日以上持続した。2回投与すると、57%の低減が最長6カ月持続したという。この結果から、Inclisiranを年2~3回注射すればコレステロールを管理できると、Ray氏らは推定している。

この知見に対し、米コロラド大学アンシュッツ医学キャンパス心臓病学教授のRobert Eckel氏は、「LDLコレステロールを劇的に低下できれば動脈プラークも減少するが、それにより心筋梗塞や脳卒中が低減するかどうかは、まだわからない」と指摘する。残った動脈プラークが柔らかく低密度である場合、剥がれやすくなりリスクが上昇するおそれもあるという。なお、今回の2件の臨床試験ではいずれも、副作用にはスタチン群やプラセボ群との差は認められていない。

これらの臨床試験は、それぞれの薬剤の製造業者から資金提供を受けている。なお、学会発表されたデータおよび結論は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなす必要がある。(HealthDay News 2016年11月15日)

▼外部リンク
Coming Soon: Lower Cholesterol From a Twice-a-Year Shot?

HealthDay
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