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糖尿病網膜症リスク、患者の認知高いものの、なお知識不足-バイエル国際調査

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2016年11月08日 AM10:00

世界糖尿病デーに併せ、糖尿病に伴う眼疾患に関する国際調査結果を発表予定

11月14日の世界糖尿病デーを前に、バイエル薬品株式会社はプレスセミナーを開催。山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学講座准教授の川崎良氏による講演が行われ、バイエルファーマAGが支援した国際調査結果の一部が紹介された。この調査は糖尿病網膜症()および糖尿病黄斑浮腫()など糖尿病に伴う眼疾患に関する世界的な問題と、各国が抱える固有の問題を検討するため、国際高齢者団体連盟、国際糖尿病連合、国際失明予防協会が行ったもの。第1フェーズは日本を含む8か国での定性的調査で、第2フェーズとして41か国での定量的調査が行われた。今回紹介されたのは、日本における定量的調査結果の一部。


山形大学大学院 医学系研究科
公衆衛生学講座 准教授 川崎良氏

DRは腎症、神経障害と並ぶ糖尿病三大合併症のひとつで、日本における視覚障害者認定となる原因疾患の2位とされる。久山町研究では2007年におけるDR有病率は15%、2000~2002年の舟形町研究では23%で、特にHbA1cが9.4%以上(NGSP)で、発症進展のリスクが高くなることが知られている。初期には自覚症状を伴わないため、診断が遅れること、現在の治療では診断時の視力の維持が治療の目標となることが問題となっている。

今回紹介された調査結果は、糖尿病患者(n=77、うち男性79%)、医療従事者(n=44、うち眼科医68%)から得られた回答をまとめたもの。患者調査からは、糖尿病合併症に関する認知度として、「失明・視力障害」82%、「下肢潰瘍」77%、「切断」76%、「腎疾患」66%、「神経症」65%と、DRの存在が広く認知されていることが明らかになった。DRまたはDMEと診断された患者の54%が視力に影響があったと回答しており、そのうち71%は日常生活上の影響を実感していた。

6割が眼科受診しているが、半数が年1回未満

糖尿病患者の眼科受診頻度に関する設問では、DR検査を受けたことがあると回答した患者は59%、そのうち過去1年以内に受診したと回答したのは51%で、糖尿病診療ガイドラインで推奨されている、少なくとも年1回の眼科受診とはかけ離れた実態が明らかになった。眼科受診の妨げになっている要因としては、「受診当日の待ち時間が長い」(34%)が最も多く、「高額な検査費用」(31%)、「家の近くで検査が受けられない」(15%)、「自分には眼合併症はないと考えている」15%、「自身の状態についてよくわからない」(13%)と続いた。糖尿病に関する情報源では、多くの患者が「医師・看護師」としており(89%)、次いでインターネット(67%)、TV・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディアも40%であった。DRやDMEに関する情報源でも同様の傾向がみられたが、患者が眼に関して内科医・かかりつけ医に相談する頻度は年に1~数回と多くはなく、医療従事者側からの積極的な情報提供が必要であることが示唆されているという。

一方、医療従事者の調査では、糖尿病患者の眼の健康を促進するうえで障壁となっている要素として、「(患者の)知識不足・認識不足」(66%)が最も多く挙げられ、「患者が眼合併症の可能性が低いと感じている」(59%)、「患者がほかに様々な責務および優先事項を抱えている」(56%)、「患者が眼の検査を重要でないと感じている」(50%)、「受診当日の待ち時間が長い」(44%)と続いた。眼科医を対象に、糖尿病に伴う眼疾患の課題についての設問では、「診断の遅れ」が68%と最多で、次点で「糖尿病網膜症に関する患者教育機会が限られている」が56%と、早期発見のための方策や患者教育の充実が課題であることが示された。

なお、同調査はインターネットまたは書面で行われたため、一般的な糖尿病患者像よりも若年・男性患者が多かった可能性があるという。「患者が十分に理解できるような情報提供や社会全体の認知を上げるために、今後も医療従事者による情報発信が大切」と川崎氏。バイエル社によると、海外の調査結果を含む全体のデータは11月14日に発表予定だという。(QLifePro編集部)

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