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鳥インフルエンザウイルスの抗体保有調査結果を発表-神戸大

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2016年10月25日 PM01:00

インドネシアにおける不顕性の感染者を含む疫学調査

神戸大学は10月24日、インドネシア生鳥市場従業員における高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスの高頻度感染を、血清疫学的に証明したと発表した。この研究は、同大学大学院医学研究科附属感染症センターの清水一史客員教授と森康子教授/センター長らの研究グループによるもので、感染症研究国際展開戦略プログラム(J-GRID)の支援で設立/運営されているインドネシア神戸大学国際共同研究拠点(アイルランガ大学熱帯病研究所内)での研究。研究成果は「The Journal of Infectious Diseases」に10月17日付で掲載されている。

高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスは散発的にヒトでも流行し、世界で最も多く死亡者を出している。過去のインフルエンザパンデミックには、季節性インフルエンザウイルスと鳥ウイルスの混合感染により発生した例もあり、家禽や野鳥で同ウイルスが風土病的に流行しているインドネシアで、新たなパンデミックウイルス発生の可能性が高いと考えられてきた。H5N1ウイルス感染の同国での死亡率は84%と高率だが、これは呼吸器疾患が重症化して医療機関を受診した患者を母数とするもの。不顕性感染を含む感染者あたりの発症率および致死率は未だ明らかにされていなかった。

混合感染から新型ウイルス発生の可能性が高い

研究グループは、鳥ウイルス濃厚暴露集団であるインドネシア生鳥市場従業員におけるインフルエンザウイルス感染の疫学調査において、2014年2月に採取した101名の血清の84%に、2013年に家禽から分離した高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスAv154株に対して特異的な赤血球凝集抑制(HI)抗体を検出。抗体価を2012年、2015年、2016年採取の血清と比較したところ、2014年の抗体価の平均は2012年に比べて約3倍に上昇し、その後年々半減していたという。Av154ウイルスはインドネシアでは2012年12月から分離され始めたウイルスで、生鳥市場従業員は2013年中に感染したことが示唆された。

なお、これらの抗体陽性者は全員健康で、重篤な呼吸器疾患の既往歴もなかったという。抗体陽性者85名中4名で季節性インフルエンザウイルス遺伝子が検出されたことから、生鳥市場で鳥とヒト、両ウイルスの混合感染が発生する可能性が示唆された。

研究グループは、今回の研究が新型インフルエンザ対策を策定するうえで考慮すべき重要な新知見であり、科学的根拠を与えるものであるとしている。

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