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緑内障分類を自動で行うソフトウエアを開発-東北大とトプコン

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2016年08月29日 PM12:00

眼圧下降治療に反応しない緑内障患者4割

東北大学は8月22日、株式会社トプコンの技術本部と協力して、緑内障の診療や治療方針の決定に有用となる緑内障分類を自動で行うソフトウエアを開発したと発表した。この研究は、同大学大学院医学系研究科眼科学教室の中澤徹教授らの研究グループによるもの。研究成果は「PLOS ONE」に8月24日付けで掲載されている。


画像はリリースより

緑内障は、40歳以上の約5%、70歳以上では10%が罹患し、失明原因第1位の疾患。網膜神経節細胞およびその軸索の障害により、視野障害が生じるが、軸索障害は視神経乳頭の陥凹拡大という形態の変化でとらえることができ、緑内障の診断基準のひとつとなっている。健康診断でも視神経乳頭陥凹の拡大所見が、2次検査を要する基準とされている。緑内障は、眼圧による視神経の障害が重要な病因のひとつとされ、主に眼圧下降治療が行われているが、眼圧下降治療に反応しない患者が約4割存在する。

緑内障病態の細分化や治療の個別化に期待

眼圧以外の因子が緑内障に与える悪影響が大きいと、緑内障の主な治療法である眼圧下降治療だけでは緑内障の進行を食い止めることが困難になる。眼圧以外の危険因子()と眼圧を反映した4つのグループに緑内障を分類することで治療の効率化が図れるが、その分類方法は検者の熟練を要し、また主観的な要素が大きく、一般の診療所では分類が難しいことが問題だった。

今回の研究では、日本が世界をリードしている、スウェプトソース光断層計(OCT)という装置で撮像した視神経乳頭形状の計測値を用いて、自動で緑内障の4分類を行うことができる。これにより、3次元眼底撮像をより精密に数値化することが可能となった。多様な病因や進行形態をとる緑内障診療において、全国どこでも標準化された緑内障病態の細分化や治療の個別化につながることが期待できると、研究グループは述べている。

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