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リアルタイムに脳状態を可視化できるパッチ式脳波センサを開発-阪大

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2016年08月19日 PM01:00

冷却シートを額に貼る感覚で容易に装着

大阪大学は8月17日、冷却シートを額に貼るような感覚で容易に装着することができ、リアルタイムに脳状態を可視化できるパッチ式脳波センサを開発したと発表した。この研究は、同大学産業科学研究所の関谷毅教授、同大学大学院連合小児発達学研究科の谷池雅子教授、同歯学研究科の加藤隆史講師でつくる医脳理工連携プロジェクトチームによるもの。この研究は、脳マネジメントにより常に潜在力を発揮できる“スーパー日本人”の実現を目指す、同大学センター・オブイノベーション(COI)拠点のプロジェクトの一環として行われた。


画像はリリースより

大阪大学COI拠点では、医学・脳科学・理学・工学が連携(医脳理工連携)して、脳機能の解明を行い、人間の状態(感情やストレスの状態)との因果関係を明らかにする研究を行っており、これらの情報を基に、人間の各状態に応じた活性化の手法を開発し、社会に提供する脳マネジメントシステムの研究開発が進んでいる。

脳マネジメントシステムは、状態を検知し、活性化手段を提供し、活性化状態を評価し、さらなる活性化につなげるというサイクルを繰り返すが、状態を検知する手段として脳波を測定することが極めて重要な課題となっている。ところが、従来の医療用脳波計は、頭部全体に複数の電極を有線で装着し、導電ゲルを頭皮に塗布する手法がとられるため、装着者への負担が大きく、また、既存のウエアラブル脳波計も頭皮に電極を当てる櫛形電極が必要であるため、長時間の装着には耐えられなかった。

認知症含む脳関連疾病の早期発見に応用も

さらに、多くのウエアラブル脳波センサには多数のケーブルが接続され装着には負荷がかかるため、例えば、心地の良い睡眠を得ながら脳波を計測したり、子どもの脳波を手軽に計測したりするのは極めて困難であったため、誰でも・どのような状態でも脳波計測を行うためには、装着者に負担の少ない脳波計の開発を行う必要があった。

今回開発されたのは、手のひらサイズのパッチ式脳波センサ。額に貼り付けて睡眠を取るだけで、大型の医療機器と同じ計測精度で、睡眠中の脳波をワイヤレス計測できる。深い睡眠の際に見られる2Hz以下の遅い脳波(徐波)も検出され、負担が少なく測定できる。また、睡眠中の脳波のみならず、電子体温計のように毎日の脳の活動を手軽に家庭内で計測でき、睡眠の質の測定ができる可能性があるだけでなく、毎日手軽に測定することで、認知症を含む脳関連疾病の早期発見につながることが期待されるとしている。

さらに、脳の活動の計測を通して要介護者の見守りセンサ、運転者の急な不調に対応したクルマの自動運転/手動運転の切り替え、子供の集中力から好きな科目の同定、言葉の話せない赤ちゃんの好みのおむつ開発まで、広範な応用範囲が期待できると、同プロジェクトチームは述べている。

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