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DNA切らずに書き換えるゲノム編集技術「Target-AID」開発−神戸大

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2016年08月10日 PM01:00

狙った点変異を高効率に導入して遺伝子機能を改変できることを実証

神戸大学は8月5日、DNAを切らずに書き換える新たなゲノム編集技術「Target-AID」の開発に成功したと発表した。この開発は、同大学院科学技術イノベーション研究科の西田敬二特命准教授、近藤昭彦教授と、東京大学先端科学技術研究センターの谷内江望准教授、静岡県立大学食品栄養科学部環境生命科学科の原清敬准教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Science」オンライン版に8月4日付けで掲載された。


画像はリリースより

さまざまな生物のゲノム情報を直接操作し、人工的な配列を残さないゲノム編集技術は、著しい進歩を遂げており、生命科学全般から、先進医療分野にまで至る革命的なツールとなりつつある。その中でも非常に有効な手法とされている「」を利用したゲノム編集技術は、標的とする部位においてDNAを切断し、DNAが修復する際に、目的の遺伝子が改変されることを期待するもの。

この手法は、遺伝子操作が困難であった生物材料においても非常に有効であることから、動物や植物などの高等真核生物を中心に導入が進んでいる。しかしその一方で、切断されたDNAの修復過程で、意図した改変が起こるとは限らない不確実性や染色体の切断による細胞毒性が大きな課題となっていた。

研究グループは、人工ヌクレアーゼを利用した技術である「CRISPRシステム」から、ヌクレアーゼ活性を除去したものに、脱アミノ化酵素であるデアミナーゼを付加した人工酵素複合体を構築。酵母および動物細胞の中で発現させることで、狙った点変異を高効率に導入して遺伝子機能を改変できることを実証した。

将来的に新たな遺伝子治療として応用も

標的DNA配列の前後含めて40塩基の範囲において実際に引き起こされた変異の頻度を解析したところ、ヌクレアーゼ型では挿入や欠失が中心であるのに対して、デアミナーゼ型では限られた部位での点変異のみが起こっていた。また、DNAを切断せずに改変することで、従来のヌクレアーゼ型に比べて、細胞毒性が大幅に低減していることも確認できたとしている。

今回開発された技術は、細胞に大きな負担をかけない形で、効率よく意図した改変を行えることから、より高度で多様なゲノム編集操作を実現することができる。これまでのゲノム編集技術の課題を解決する手法であり、高度なゲノム編集操作を可能とし、有用生物の育種から疾患研究、創薬開発などを加速させる強力なツールを提供するとともに、将来的には新たな遺伝子治療手法としての応用も期待されると、研究グループは述べている。

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