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高血圧DNAワクチンの臨床試験、2017年に豪州で開始-アンジェス

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2016年07月12日 PM12:30

阪大と共同で動物モデルでの有効性確認

アンジェスMG株式会社は7月8日、遺伝子医薬であるDNAワクチン事業への進出を表明した。最初の開発品として高血圧DNAワクチンの臨床試験を2017年第1四半期からオーストラリアで開始するとしている。

DNA治療ワクチンは、遺伝子の本体であるDNAを治療目的のワクチンとして利用した医薬品。同社はこれまで、大阪大学と共同で高血圧治療を対象としたDNAワクチンの開発を進めてきたが、動物モデルで有効性を確認し各種非臨床試験の完了にめどがついたことから、臨床開発に乗り出す。年内に現地の倫理委員会の審査を経て規制当局に試験実施届けを提出し、2017年第1四半期に被験者への投与を開始する予定。24人の被験者に投与し、安全性と探索的な効果の確認を目指す。

国内で高血圧薬市場の一部代替目指す

高血圧の分野では、すでに多くの経口医薬品が販売されているが、これらの薬は毎日服用する必要があり、服薬アドヒアランスは必ずしも高くない。注射剤であるDNAワクチンは、一度投与すれば服用なしで長期間にわたり効果が持続することが期待されており、特に服用の難しい高齢者への利便性が大幅に向上すると考えられている。

高血圧治療の医薬品市場は国内だけで主力のARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬、国内市場約5000億円)を含め8000億円と巨大であり、この一部を代替することを目指す高血圧DNAワクチンは、非常に高い事業性も期待されている。また、発展途上国では薬価の高いARBは有用性が高いにもかかわらず医療経済上の問題から使用は限定されており、発展途上国でのニーズも極めて高いとされている。

ワクチンには、特定の病気への罹患を防ぐ予防ワクチンと罹患後の治療に利用する治療ワクチンの2つがあるが、同社は治療ワクチンの開発を目指す予定。DNAワクチンでは、たんぱく質の設計図であるDNAそのものを体内に導入し、目的の抗原を体内で作ることにより高いワクチン効果を発揮し、かつ効果が持続するのが大きな特徴。がんやアレルギー疾患、さらには一部の慢性疾患の治療にも応用できる可能性があり、将来的に大きな市場に成長すると見込まれている。

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