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新専門医制度 延期の方向性で舵を切る厚労省を真っ向から批判

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2016年07月08日 PM04:00

東洋医学会学術集会で緊急シンポジウムを開催

現在、2017年春からスタート予定だった新専門医制度の実施について、日本医師会をはじめとする医師、病院団体から「医師の地域偏在につながりかねない」との反対意見が次々に噴出し、塩崎泰久厚労相までもが導入延期をにおわす談話を発表し、あくまで予定通りスタートさせようとする日本専門医機構との「対立」にまで発展している。

6月上旬、高松市で開催された第67回日本東洋医学会学術集会では緊急企画「新しい専門医制度の現状と展開」が開催され、同企画で講演した日本専門医機構理事の千田彰一氏(徳島文理大学副学長)は、こうした新制度スタートに延期の方向性で舵を切る厚労省を真っ向から批判した。

そもそも新専門医制度は、医学部卒業後2年間の初期臨床研修を終了後の医師に対して、さらに専門医としての研鑽を高める場合に、新たに3年以上の研修を課す制度。より具体的には、専門医資格を現在ある診療科別を基本にした「基本領域専門医」と各診療科内でもより専門性の高い分野に分類した「サブスペシャリティ領域専門医」の2つに分け、専門医を目指す医師はまず基本領域専門医の資格を取得、その後、必要に応じてサブスペシャリティ領域専門医の資格取得を目指す。この研修は基幹施設と呼ばれる大学病院などが中心となり、それと連携する地域の中小病院などの連携施設と協調の上で行い、研修プログラムの評価や認定、さらには専門医の認定は2014年に同制度の運営を担う中立的な第三者機関として設立された日本専門医機構が行うというもの。

しかし、制度がスタートすれば、専門医を目指す若手研修医のみならず、その研修を担う人材を確保するために中堅以上のベテラン医師までもが基幹施設に集中し、地方の中小病院などでは人材不足になる可能性がある。日本医師会をはじめ病院団体などが新制度実施に反対するのはまさにこの人材確保が深刻化するとの懸念からだ。

千田氏「偏在問題は専門医制度とは別の次元の問題」

千田氏は講演で「そもそも専門医制度の設立が求められたのは専門医の質向上、引いては医療の質向上が目的で、機構の役割もこの1点に尽きる」と説明。そのうえで「診療科偏在、地域偏在はある意味日本全体の問題であり、これまで厚労省も日本医師会も手を付けられてこなかった。にもかかわらず法的根拠もないなかで日本専門医機構が手を付けられるはずもない。それでも機構内では専門医の都市集中を避けるべくさまざまな仕組みを考えてきた」と述べ、日本医師会などによる反対論陣が強まる中で機構自体の考えを説明する場は実質的に狭められてきたとの認識を強調。そもそも偏在問題は専門医制度とは別の次元の問題であるとの認識を示した。

その一方で、当初機構が行うとされていた認定業務についても、当面は各関係学会で行う方向性で話が進みつつあることなどを踏まえ、「混乱の中で厚労省の発言力が強まり、中立的な第三者機関という機構の役割も狭まりつつあり、機構のあずかり知らぬところで制度に関するスケジュールなどが決まっている。今まで改革をやってきた主体がどこなのかすら見えなくなり、プロフェッショナルオートノーミーも失われつつある」と日本医師会などの意見を中心に主導権を強める厚労省への懸念を表明した。

また、そもそもの専門医改革の原点が2008年に日本学術会議が出した提言で10年以内新専門医制度の創設を謳ったことにあるとして、「(この原点時期から考えて)いま進めようとしている専門医制度は拙速でもなんでもない」と、反対する関係団体を批判した。

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