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従来の「指向性重視」から脱却した補聴器「オーティコン オープン」発売-オーティコン

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2016年07月07日 PM03:00

騒音下の聴取環境における会話の理解を30%向上

オーティコン補聴器 (オートメット株式会社)は7月5日、新型の補聴器「 オープン(Oticon Opn)」を発売。都内で発表会を開催し、同社プレジデントの木下聡氏、駐日デンマーク大使のフレディ・スヴェイネ氏らが登壇した。


画像はリリースより

木下氏は「オーティコン オープンは、従来の補聴器にあった『指向性』という考え方を取り去り、360度周囲にある音を自然に届けることによって、健常者と同じように音が聞こえる補聴器。補聴器市場におけるパラダイムシフトに」と、同製品に期待を寄せた。

オーティコン オープンは、補聴器専用に設計された11コアのチップ「Velox(TM)(ベロックス)」を搭載。従来の50倍の処理速度により、複数音源の同時分析処理に必要な超高速演算命令処理能力を実現。64の信号処理チャンネルによる精緻な音声分析、より明瞭な音質、処理実行能力の高さを揃え「脳の聞く働き」を支えるとしている。

また同製品は、脳から聞こえを考える「BrainHearing(TM)(ブレインヒアリング)」技術を搭載。ユーザーはより少ない労力で会話を理解し、会話に必要な記憶をより多く脳にとどめることができるという。さらに、新機能の「オープンサウンドナビゲーター」により、毎秒100回以上周囲360度の音を分析し、毎秒500回の速度で情報を更新。言葉の音節間にあるノイズも除去する処理で、音源とノイズのバランスを最適化。複雑で変化の多い騒音下の聴取環境での会話の理解を、同社の従来品と比較して30%向上したという。

木下氏「聴覚ケアはヘルスケアにつながる」


オーティコン補聴器プレジデントの木下聡氏と
駐日デンマーク大使のフレディ・スヴェイネ氏

オーティコン オープンは、両耳間の通信に最適化された省電力の近接場電磁誘導(NFMI)と2.4GHzのBluetooth通信の2つで構成される「TwinLink」技術を搭載。これにより両耳間の通信機能を確実に高めながら、外部端末との直接接続も可能となった。2.4GHzの通信では、iPhoneと直接ワイヤレス接続でき、無料アプリ「Oticon ON」を併用すれば、iPhoneをリモコンとして活用可能。「補聴器を探す」機能など利便性が向上しているという。

また、補聴器としては世界で初めて「If This Then That」(通称:IFTTT(イフト))のサービスを介して、インターネット接続が可能になった。今後、「Eメールを受信したら補聴器に知らせが届く」「自宅のセキュリティシステムのオン・オフ時に補聴器で通知を受ける」などの機能追加も視野に入れている。

木下氏は「日本は超高齢社会を迎えているにも関わらず、欧米諸外国と比べて補聴器の所有率が極めて低い。自分が難聴であると答えた人のうち、13~14%ほどにとどまる。聴覚の衰えが認知症の危険因子となる可能性があるとして、国内外で研究が行われている。脳の聴覚をつかさどる部分が使われなくなることで、認知症が加速する、補聴器をつけることで進行が抑制できる可能性も示唆されている。聴覚をケアすることはヘルスケアにつながる」と、日本の補聴器市場の発展に期待を込めた。

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