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糞便移植、難治性潰瘍性大腸炎の症状緩和・治癒に効果

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2016年06月03日 AM10:00

糞便移植で難治性の潰瘍性大腸炎が軽減

糞便移植が難治性の潰瘍性大腸炎の症状緩和および治癒に有用であることが、新たな研究で示された。健康なドナーから採取した糞便物質を患者に移植すると、腸内細菌の組成が変化し、疾患を進展させる原因を回避できるという。研究著者であるニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のSudarshan Paramsothy氏は、「本研究は、(糞便移植が)極めて有望性の高い治療選択肢であることを示すものだ」と述べている。


画像提供HealthDay

米国クローン病・大腸炎財団(CCFA)によると、潰瘍性大腸炎は免疫反応の異常に起因するとされ、米国では70万人が罹患している。大腸が炎症を起こして開放性潰瘍ができ、血便、腹痛、持続性の下痢などの症状がみられる。糞便移植は、現在はクロストリジウム・ディフィシル消化管感染症に対してのみ標準治療となっている。

今回の研究では、オーストラリアの3カ所の研究施設で、標準治療に抵抗性を示す潰瘍性大腸炎患者81人を無作為に2群に分け、41人に8週にわたり繰り返し糞便移植を実施し、残りの被験者にはプラセボ治療を実施した。移植する糞便物質は被験者1人につき少なくとも3人のドナーから採取。糞便は均質化してろ過した後、移植まで冷凍保存し、“懸濁液”浣腸として直腸内に直接注入した。初回治療後は被験者が自分で注入を行った。

生物学的製剤は感染リスクを伴うが、病歴のスクリーニングや便、血液の検査によりリスクを最小限に留めることができるとParamsothy氏は話す。

8週後、糞便移植群の27%が主要評価項目(報告される自覚症状がなく、医師が内視鏡で大腸の治癒または著明な改善を確認)を達成したのに対し、プラセボ群では8%であった。自覚症状の消失のみに着目すると、糞便移植群の44%が目標を達成したのに対し、プラセボ群では20%であった。

今回の研究は米サンディエゴで開催された米国消化器病週間(DDW)で5月23日に発表された。学会発表された研究は一般に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

CCFAのR. Balfour Sartor氏は、「糞便移植には嫌悪感が伴うことから、医師、患者、政府機関がその安全性と有効性に確信をもつ必要があり、今回の研究はこの治療法が潰瘍性大腸炎に適していることを示す最良の実例である」と述べている。しかし、治療終了後の効果の持続性を明らかにするには今後も研究を続ける必要があると、Paramsothy氏とSartor氏はともに述べている。(HealthDay News 2016年5月23日)

▼外部リンク
Stool Transplant Soothes Tough-to-Treat Colitis in Study

HealthDay
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