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ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん治療薬「ジカディア」新発売-ノバルティス

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2016年05月27日 AM11:30

ALK+NSCLCの新規患者数、年間2,000~5,000人

ノバルティス ファーマ株式会社は5月25日、ALK融合遺伝子陽性(ALK+)の非小細胞肺がんの治療薬として、今年3月28日に製造販売承認を取得した「(R)カプセル150mg」(一般名:)の販売を開始した。


画像はリリースより

日本人のがんによる死亡原因の第1位は肺がんで、国内の統計によると年間約7万人が肺がんにより亡くなっている。また、年間約11万人が新たに肺がんと診断されている。

肺がんの約85%が非小細胞肺がん(NSCLC)と診断され、NSCLC患者の約2~5%がALK遺伝子の変異()を有すると報告されていることから、日本国内でのALK+のNSCLCの新規患者数は年間約2,000~5,000人と推計される。

現在、ALK+NSCLC治療には、複数のALK阻害剤が用いられているが、既存のALK阻害剤に不耐容であったり、効果が十分ではなかったり、一旦効果が見られても耐性により増悪するケースがほとんどであると報告されている。またALK+NSCLC患者では脳転移のリスクが増加することが示唆されており、脳転移が治療上の大きな課題となっている。

奏効率37.1%、脳転移病変に対する抗腫瘍効果も

ジカディアは、受容体チロシンキナーゼであるALKの自己リン酸化を阻害し、がん細胞の増殖を抑制する、強力かつ選択的な経口ALK阻害剤。

同社によると、化学療法及び既存のALK阻害剤(クリゾチニブ)の治療歴があるALK+NSCLC患者を対象とした国際共同第2相臨床試験(日本人を含む)において、奏効率37.1%(95%信頼区間:29.1%、45.7%)で主要目的を達成し、高い抗腫瘍効果を示した。同様に、脳転移を有するALK+NSCLC患者でも、脳転移病変に対する同剤の抗腫瘍効果が示唆された。なお、同剤の主な副作用は、悪心(77.9%)、下痢(77.1%)、嘔吐(58.6%)、ALT(GPT)増加(37.9%)、食欲減退(35.7%)、AST(GOT)増加(28.6%)だった。

同剤は、2013年3月にFDAより「画期的治療薬」の指定を受けて、2014年4月に米国で「クリゾチニブによる治療後に疾患が進行したクリゾチニブ不耐容のALK+NSCLC」の治療薬として迅速承認を取得。2015年5月にはEUでも承認を取得し、2016年3月現在、アジアを含む世界50か国以上で承認されている。日本では、2015年6月15日に厚生労働省より希少疾病用医薬品として指定され、同年3月28日に製造販売承認を取得した。

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