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COPD患者におけるACOSの臨床割合に関する研究結果を発表-AZ

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2016年05月20日 PM02:00

COPDと喘息の2つの疾患の症候を有する新しい疾患概念「

アストラゼネカ株式会社は5月17日、日本の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を対象に、気管支喘息を合併する喘息COPDオーバーラップ症候群(ACOS:the Asthma COPD Overlap Syndrome)の実態について調査した多施設横断研究の結果を、米国胸部学会学術集会2016(ATS 2016 International Conference)のポスターディスカッションで発表した。

ACOSは、持続的な気流閉塞を特徴とし、COPDと喘息の2つの疾患の症候を有する新しい疾患概念。COPDと喘息の症候を認めるかが診断基準であるため、不明瞭さはあるが、ACOS患者はCOPDのみの患者や喘息患者と比較して、症状を増悪しやすく、QOLが低いと言われている。有病率は、年齢や性別により幅があるが15~55%と推定され、特に40歳以上の慢性的な気道疾患を持つ患者に多いとされている。

今回の研究は、日本の実臨床下でのCOPD患者におけるACOSの罹患割合と臨床的な特徴について調査することを目的に実施された非介入後ろ向き研究。喘息の国際指針を示すGINA(Global Initiative for Asthma)とCOPDの世界的活動団体であるGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)が2014年に合同会議で提唱したACOSの鑑別法を応用した大規模な臨床研究の1つとして行われた。40歳以上でCOPD診断時に10パックイヤー以上の現在の喫煙習慣もしくは過去の喫煙歴があり、COPD診察歴が1年以上あるCOPD患者を対象として、38施設から1,008症例が参加した。

およそ3~6割のCOPD患者でACOSの判定、好酸球性炎症亢進も示唆

GINEとGOLDが提唱した鑑別法を応用した今回の観察研究におけるACOS患者の定義は、(1)喘息とCOPD両方の臨床的特徴について該当する数が3つ以上および/または気管支拡張薬吸入後FEV1≧12%かつ≧200mL、(2)喘息とCOPD両方の臨床的特徴について該当する数が3つ以上および/または気管支拡張薬吸入後FEV1≧12%かつ≧400mLの2種類。

その結果、(1)でACOSと判定された患者は59.0%、(2)で判定された患者は32.5%存在することが明らかになった。また、ACOSと判定された患者は、COPD患者と比較して末梢血好酸球レベルが高く、好酸球性炎症が亢進していることも示唆されたという。

この研究結果について、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器内科学分野の井上博雅教授はプレスリリースで、「2014年にGINAとGOLDより喘息とCOPDの両病態を併せ持つ患者群を新たな疾患としてACOSと呼称し、鑑別法が提唱されましたが、臨床における実状を報告する試験は限られていました。1,000症例を超える患者さんを対象として実施された本試験の結果は、COPD患者さんとACOS患者さんを鑑別する上で大変意義深く、確かなエビデンスとなると考えます」と述べている。

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