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アルツハイマー病原因物質の構造変化、世界最速の原子間力顕微鏡で確認-金沢大

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2016年05月16日 PM01:00

アミロイドβタンパク質が凝集する過程をビデオ撮影

金沢大学は5月10日、世界最速の原子間力顕微鏡を用いて、アルツハイマー病の脳に蓄積するアミロイドβタンパク質(Aβ)が凝集する過程をビデオ撮影することに成功したと発表した。


画像はリリースより

この研究は、同大学医薬保健研究域医学系脳老化・神経病態学(神経内科学)の山田正仁教授、理工研究域バイオAFM先端研究センターの中山隆宏助教らの研究チームと、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)らによるもの。同研究成果は、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」オンライン版に5月9日付けで掲載されている。

アルツハイマー病の脳には、老人斑という特徴的な構造がみられ、その主成分はAβだ。Aβが凝集し蓄積していく過程は、アルツハイマー病の脳の病変の形成において、中心的な役割を果たしており、その構造の違いが病気の進行の違いなどに関与していると考えられている。

Aβの繊維構造「混在型」が存在することが判明

今回の研究では、金沢大学が開発した試料と探針の原子間にはたらく力を検出して画像を得る「高速原子間力顕微鏡」を使用。この顕微鏡によって、分子の動きや構造を精密に撮影し、Aβが溶液内で集まる過程の動画撮影に成功したという。

撮影に成功した動画からは、Aβの繊維構造としてすでに知られている「らせん型」と「直線型」に加えて、それら2つの型を併せ持つ「混在型」が存在することが判明。そして、混在型は、「らせん型→直線型→らせん型」のように繊維が変換されながら形成されることを発見した。さらに、溶液の成分を変えるとAβの各型の出現割合が変わることから、Aβの線維構造は周囲の環境によって変化することも分かったとしてる。

脳内のAβの線維構造を変化させることができれば、アルツハイマー病の発症や進行を制御できる可能性もある。研究グループは、今回の研究成果が今後の治療研究へ活用されることが期待されるとしている。

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