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未熟児の網膜症に用いられるアバスチン、重篤な神経障害のリスクが高くなる可能性

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2016年03月31日 AM10:00

未熟児網膜症の治療薬が身体障害に関連

未熟児の網膜症治療に使用される薬剤アバスチン(一般名:)が、脳性まひや難聴などの重篤な障害に関連している可能性が新たな研究で示唆され、「Pediatrics」3月17日号に掲載された。アバスチンは血液供給を遮断することにより腫瘍を攻撃するがん治療薬だが、「適応外」として網膜症治療にも利用されている。


画像提供HealthDay

米国立眼研究所(NEI)によると、網膜症は主に妊娠31週未満で生まれた未熟児に起こる疾患で、網膜に異常な血管が発生することに起因する。重症の場合、異常な血管を退縮させるレーザー手術が標準治療となる。しかし2011年、アバスチンの注射による治療が簡便かつ有効であることが示されて以来、同薬を使用する医師が増えていると、米フィラデルフィア小児病院のGraham Quinn氏は付随論説のなかで説明している。

2011年の研究は「New England Journal of Medicine」に掲載され、眼内にアバスチンを注射する治療がレーザー手術よりも有効であり、1年以内に再治療が必要となる比率が低いことが示唆された。また、数分で処置が終わり、全身麻酔の必要がないため、安全性も高いと思われた。

しかし今回の新たな知見では、長期的には重症脳性まひ、、難聴、著しい動作障害を含めた重篤な神経障害のリスクが高いことが示された。本研究では、セント・ジャスティン大学病院センター(カナダ、モントリオール)のJulie Morin氏らが、網膜症でアバスチン治療を受けた乳児27人およびレーザー手術を受けた98人を検討した。

その結果、生後18カ月までに、アバスチン群では52%の児に重度障害が生じたのに対し、レーザー手術群では29%であった。ただし、今回の研究は因果関係を明らかにするものではなく、たとえば、容体が重く手術によるリスクが高い場合に薬剤治療が選択されていたなど、別の理由も考えられる。

米ベイラー医科大学(ヒューストン)教授のJane Edmond氏らによると、アバスチンは新しい血管の増殖を促す血管内皮増殖因子()と呼ばれる蛋白を阻害する薬剤だ。重症網膜症の未熟児の眼内には過剰なVEGFがみられるが、この蛋白は脳、肺、腎臓の発達に重要なものであり、眼内に注射したアバスチンが血流に入り込み、他の臓器に影響を及ぼすとの懸念は以前からあったという。

「現時点では、網膜症治療にはできる限りレーザー手術を選択すべきだ」とQuinn氏は指摘している。Avastinの製造元であるGenentech社のコメントは得られていない。(HealthDay News 2016年3月18日)

▼外部リンク
Drug Used for Preemie Eye Disease Tied to Disabilities

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