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居住者の生態情報に合わせた環境コントロールが可能なシステムを開発-京大

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2016年03月28日 PM02:30

生体リズム視点を取り入れた「」を具現化

京都大学は3月24日、住空間を基調とした居住者の生体情報に合わせた環境コントロールが可能なシステムを開発、実験用プロトタイプを大学内に設置したと発表した。


画像はリリースより

これは、)のCOIプログラムの一環として、同大医学研究科人間健康科学系専攻の若村智子教授の研究室によるもの。環境コントロール技術を組み込んだ睡眠空間開発に実績がある積水ハウス株式会社と、快適空間を実現するエアコン開発に実績があるダイキン工業株式会社との共同研究によるもので、平成32年の実用化を目指して実証実験を開始した。

長寿高齢化に伴い増加する要介護高齢者に対し、安寧な療養生活を在宅で提供することが大きな課題となっている。また、高齢者施設においても、自宅にいるような住空間を感じられる空間設計が提供されつつある。昼夜や四季のような自然のリズムに沿って人間のリズムも刻んでいるという考え方のもと、同研究室では、生体リズムと睡眠の関係、睡眠と光環境や温熱環境に関する研究に取り組んできた。近年、日常生活の中での健康管理を目的とする多くの機器やセンサが開発されており、精度の高い生体情報の取得により、一人ひとりに合わせた居住環境コントロールによって、生活者の健康維持増進が今後ますます期待できるようになってきている。

同プロトタイプは、介護予防や介護度の軽減につなげることを目標としており、生体リズム視点を取り入れた「時間治療」の考え方を具現化。生体情報に基づいた睡眠環境のコントロール手法を、昼夜にわたる長時間居住実験により検証することが可能。空間環境の違い、生活者の年齢や生活のリズムの違いなど、睡眠の質にかかわる要因の確定と、実生活で可能な人と空間のインターフェイス技術の精度向上を効率的に行うことができるという。

安寧な生活を実現する環境コントロールプログラムの開発目指す

同一の広さと設備を有する、左右対称な二室を持つ同プロトタイプは、個々の生体情報センサからのリアルタイムのデータ収集、分析を行うサーバ、環境制御装置、照明システム・エアコン・BGM・アロマなどの環境コントロール設備で構成されている。日中の光環境を人工的に再現して実験を行うため、屋外光を再現する照明システムを組み込んだ疑似窓を設け、各部屋は独立して環境制御が可能なため、二室間で環境や生活などの条件を変えた実験が可能だ。

これまでの多くの研究がいわゆる「実験室」で行われてきたのに対し、同プロトタイプでは、日常的な居住空間デザインとなっているのが特徴。現実的な環境下で検証を行うことができる。機能やデザインについても実用可能なレベルのデザインであり、多くの住宅や療養施設に導入することを可能とする、インフィルシステムとしてのプロトタイプとなっている。

今後は、一定期間生活者が滞在する日常生活実験により、これまでに明らかになっている前額皮膚温の日内変動を活用するとともに、生活に無理のないセンシングと生活のリズムに合わせたコントロールを行い、睡眠の質に関する検証を行う予定。これにより、生活リズムや生活習慣によって変わっていく人それぞれが持つ生体リズムを、生活の中で容易に計測が可能な生体情報センシングによって導きだす予測モデルと、センシング結果に基づき最適な環境を提供するアルゴリズムによって、個別の生活者の安寧な生活を実現する環境コントロールプログラムを研究開発していく方針としている。

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