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多発性骨髄腫治療の現状と「レブラミド」が切り拓く未来像

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2016年02月26日 AM11:00

国内および海外での臨床試験の有効性、安全性に基づく

抗造血器悪性腫瘍剤「(R)カプセル」(一般名:レナリドミド水和物)が2015年12月に未治療の多発性骨髄腫の追加適応を取得し、初発から再発までの多発性骨髄腫の効能・効果となったことを受けて、セルジーン株式会社が都内でメディアセミナーを開催。埼玉医科大学総合医療センター 血液内科教授の木崎昌弘氏が今回の承認に基づくレナリドミドの臨床試験結果を解説した。


埼玉医科大学総合医療センター 血液内科教授
木崎昌弘氏

今回の承認は、未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした海外第3相臨床試験(FIRST試験)と国内第2相臨床試験を含む臨床試験の有効性および安全性に関する結果に基づいている。FIRST試験は、造血幹細胞移植非適応の未治療多発性骨髄腫患者1,623人を対象に、「+デキサメタゾン」の継続療法を病勢進行まで継続する群(Rd継続群)と、「メルファラン+プレドニゾン+サリドマイド」を18か月投与する群(MPT群)を比較、さらに副次解析として「+デキサメタゾン」の治療期間を18サイクルに固定した群(Rd18群)と比較した無作為化非盲検3群比較臨床試験。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)とされた。

Rd継続群の死亡リスクはMPT群と比較して25%低下

Rd継続群のPFSは25.5か月、MPT群の21.2か月と比較して優位に延長した。2014年3月3日時点の中間解析における全生存期間中央値は、Rd継続群58.9か月、MPT群48.5か月だった。Rd継続群の死亡リスクはMPT群と比較して25%低下した。この結果や有害事象のデータなどから、「レナリドミド+デキサメタゾン」の継続療法の効果と高齢者にも安心して利用できることが分かったという。

「多発性骨髄腫は治癒(CURE)が難しい疾患であるため、深い奏効の達成により、より長い期間、疾患をコントロールすることが重要です。良い状態を長く続けることで、生存期間の延長、病勢憎悪の先延ばし、QOLの改善の3点が期待できます。FIRST試験の結果からレナリドミド/デキサメタゾンの継続投与は移植非適応初発骨髄腫に対する標準治療となりうることは明らかです」(木崎氏)

固形がんと違い、血液がんである多発性骨髄腫では薬物療法が主となるため、治療は新規薬剤の開発によるところが大きいという。木崎氏は、「約30年前は3年だった生存期間が、新規治療薬の登場とともに7~8年まで延びています。今年の春には次世代プロテアソーム阻害剤が承認予定です。今後、治療選択肢が増えれば生存期間はもっと延びるでしょう。多発性骨髄腫は、ゆくゆくはCAREでなくCUREを目指せる印象があります」と今後の展望を語った。

多発性骨髄腫は、国内の全がん死亡者の1.15%を占め、高齢者に発症することの多い血液がん。治療の新しい選択肢に期待が集まっている。

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