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季節性情動障害の存在に疑問

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2016年02月05日 AM10:00

「冬季うつ」は存在しない? ―季節による差は認められず

冬季の日照時間減少に関連するとされる、季節性情動障害(SAD)と呼ばれる気分障害の存在に疑問を呈する知見が報告された。研究の筆頭著者で米オーバーン大学(アラバマ州)心理学教授のSteven LoBello氏は、うつ病には波があり、秋や冬に症状が出たとしても季節の変化が原因とは限らないと述べている。


画像提供HealthDay

「Clinical Psychological Science」に1月19日掲載された今回の報告によると、大規模な電話調査のデータを用いて検討した結果、うつ症状が季節に関連することを示す根拠は認められなかったという。

米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)のMatthew Lorber氏(今回の研究には関与していない)も、SADは「正式な診断」ではないと指摘。大手製薬会社が、新たな層に薬剤を売り込むためにSADという障害をつくり出したのだと説明している。LoBello氏は、うつ病の診断に季節は無関係だとして、前提とする原因が間違っていれば、患者が有効でない治療を継続することにつながるとの見解を示している。

SADは1987年にDSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)に追加された。SADの診断の妥当性を検討したのはLoBello氏が初めてではない。米バーモント大学心理学准教授のKelly Rohan氏も、「うつ症状に季節差はみられない」ことを研究で明らかにし、「私はSADの存在を否定しないが、うつ病の症例のうち本当のSADはごく少数にすぎない」と述べている。

では、なぜ他の研究では相当な割合の人がSADに罹患していると認められてきたのだろうか? (米国家庭医学会[AAFP]によれば、米国成人の6%が冬季うつ病であり、5人に1人は軽度のSAD症状があるという。)

Rohan氏によると、研究の実施方法や、質問のたずね方が主な原因だという。「また、SADのうつ症状は、非季節性の大うつ病に比べて重症度が低く、春から夏にかけて軽快する傾向がある。そのため、うつ症状のある人全体で抑うつスコアの季節差をみた場合、差がなくても不思議ではない」と同氏は説明する。

LoBello氏らによる今回の研究では、2006年の行動危険因子サーベイランスシステム(BRFSS)を利用し、3万4,000人強の回答者に、2週間以内に抑うつを感じた日が何日あったかをたずねた。その回答を、インタビュー時の回答者の居住地、月、日、緯度、日光曝露量に照らした結果、日光曝露の少ない冬季に調査を受けた群と、その他の時期に調査を受けた群の間に、うつ症状レベルに差はみられなかった。さらに、臨床的うつ病患者1,700人だけに対象を絞っても、季節性うつの根拠は認められなかったという。(HealthDay News 2016年1月28日)

▼外部リンク
10Study Finds No Proof of ‘Seasonal’ Depression

HealthDay
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