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子宮頸がんワクチン 接種者に多い症状「なし」-名古屋市が大規模調査の結果を発表

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2015年12月22日 PM02:00

慢性症状などの24症状で、接種者が有意に多い症状ゼロ

接種後に慢性的な全身性疼痛やしびれなどを訴える事例が発生したことで、2013年6月以降、国の通知により積極的な接種勧奨を中止している子宮頸がんワクチン。名古屋市はこのほど同ワクチンの予防接種について、接種者と非接種者の合計2万人以上を対象にした24症状の有無に関するアンケート結果から、ワクチン非接種者に比べてワクチン接種者に多い症状はないとの速報結果を公表した。自治体レベルでこれほど大規模な調査が行われたのは全国でも初。今後の同ワクチン接種の方向性に一石を投じそうだ。


「子宮頸がん予防接種調査結果(速報)」より

アンケートは2015年8月12日時点で名古屋市に住民票のある中学3年生から大学3年生相当の年齢の女性(1994年4月2日~2001年4月1日生まれの女性)7万960人に9月上旬に送付し、3万793人から回答を得た(回答率43.4%)。このうち接種の有無が不明な人を除く有効回答3万279人を解析対象とした。有効回答者のうち接種者は2万1,034人で接種率は69.47%。

ワクチン接種者でこれまで報告されている未回復の慢性症状などの24症状と接種の有無をクロス集計してオッズ比を算出したところ、各症状のオッズ比は0.83~2.13。95%信頼区間の検討から、接種者で統計学的に有意に多い症状は「手や足に力が入らない」などの4症状、逆に接種者で統計学的に有意に少ない症状は「視力が急に低下した」など5症状だった。

有意差が生じた背景を探るため、ワクチンの種類別、病院受診の有無などの様々なクロス集計を行った結果、年齢と症状の有無に強い相関が見られ、ワクチン接種を受けていない人でも年齢が高くなるほど、「視力が急に低下した」以外の全症状で有意に症状ありが多かった。また、回答者のワクチン接種率は、1994~1997年度生まれでは80%台後半だが、1998年度生まれ以降、接種率は漸減し、2000年度生まれでは15%と低率だった。これらの結果から年齢が高い人は接種率が高く、かつ年齢が高い人は接種を受けていなくても症状がある人が多いという相関が認められた。

そこで各症状のクロス集計のオッズ比を年齢補正したところ、オッズ比は0.49~1.15となり、ワクチン接種者で統計学的に有意に多い症状はなかったことが分かった。

WHOも「乏しい根拠に基づく政治的判断」と接種勧奨を中止した日本を名指しで批判

一方、世界保健機関(WHO)のワクチンの安全性に関する諮問委員会(GACVS)は12月17日付で子宮頸がんワクチンの安全性に関する声明を発表した。同声明は日本を名指しし、「国の専門家会議(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会)による臨床データの評価から、ワクチン接種と(報告されている)症候群との因果関係はないとの結論に達しているにもかかわらず、子宮頸がんワクチンの接種再開の合意には至っていない」と指摘。「結果として、若い女性たちが、予防できるはずのヒトパピロマウイルス関連のがんの危険に晒されるままの状態となっている。GACVSが以前から指摘している通り、乏しい根拠に基づく政治的判断は、安全で有効なワクチンの使用を妨げ、最終的に真の被害をもたらす可能性がある」と批判している。


年齢補正後のオッズ比(名古屋市「子宮頸がん予防接種調査結果(速報)」より)

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