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難病「脂肪萎縮症」糖尿病合併してもインスリン効かず

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2015年12月14日 PM03:30

約100万人に1人の希少疾患。、理解深めるメディアセミナー開催

発生頻度は約100万人に1人といわれる稀少疾患で、平均寿命が30~40代と若くして命を落としかねない難病「」。重度の糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝など、糖脂質代謝異常が高頻度に認められるが、強いインスリン抵抗性のため、従来の経口血糖降下薬は無効なことに加え、インスリンを大量に使用しても十分な血糖コントロールが得られないことが多い。診断や診療に関する情報も少なく、存在自体を知らない医師もいるため、患者の治療環境の整備は十分ではない状況だ。


京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター
特任教授の中尾一和先生

塩野義製薬株式会社は、脂肪萎縮症に苦しむ患者の存在に加え、疾患そのものへの理解を深めてもらうために、12月8日に都内でメディアセミナーを開催。脂肪萎縮症の臨床研究の第一人者である京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター特任教授の中尾一和先生が講演を行った。

脂肪萎縮症は、種々の原因により、全身性、部分性、あるいは限局性に脂肪組織が萎縮する疾患で、難治性の糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝などの合併症を引き起こす。食事制限や過度の運動、消耗性疾患などの負のエネルギーバランスによる「やせ」とは異なり、脂肪萎縮はエネルギー過剰の状態であっても改善せず、むしろ合併症は悪化するといわれている。

医師同士の交流促進するシステム構築を

脂肪萎縮症の特効薬はまだ確立されていないが、近年、本来脂肪組織がつくらなければならない「レプチン」の欠乏が病態形成に重要な役割を果たしていることが分かり、脂肪萎縮症患者へのレプチン補充により糖尿病、、脂肪肝などが著明に改善されることが明らかになっている。

京都大学では、脂肪萎縮症に対する治療薬としてレプチンの薬事承認を目指して、2010年11月にメトレレプチン(遺伝子組み換え型レプチン)を用いた医師主導治験を開始。2013年3月に国内初のアカデミアでの医師主導治験による国内外未承認薬の薬事承認を得ている。

2015年からは「小児慢性特定疾病」が拡大し、従来の「先天性全身性脂肪発育障害症候群(リポジストロフィー)」は「脂肪異栄養症(脂肪萎縮症)」とあらためられた。さらに、同年から「指定難病」にも脂肪萎縮症が追加されている。

稀少疾患のため、「診断した経験のある医師が少ないこと」を課題に挙げる中尾先生。治療環境の整備に向け、中尾先生が理事を務める日本内分泌学会は「脂肪萎縮症診療ガイドライン」を作成中で、来年の運用を目指している。また、中尾先生が理事長を務める認定NPO法人日本ホルモンステーションは、患者に向けて、脂肪萎縮症の啓発活動に取り組んでいるが、中尾先生は「医師同士が気楽に質問を投げかけられるようなシステムをインターネット上でつくりたい」と話す。「医師から寄せられた質問内容を他の医師が閲覧できるようにすれば、理解が広がる」(中尾先生)

「まだ診断されていない潜在的な脂肪萎縮症患者がいると思っている」と中尾先生。難病に苦しむ患者が適切な治療を受けられるよう、疾病そのものの理解や治療環境の整備が望まれる。

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