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エンテロウイルスD68流行期における重症喘息発作例調査の中間報告を公表-小児アレルギー学会

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2015年11月26日 PM12:15

EV-D68流行に関連する喘息発作にフォーカスした全国調査

日本小児アレルギー学会は11月23日、今年8月末より始まった喘息発作急増とエンテロウイルスD68流行の関連を明らかにするための緊急調査について、同日現在30施設からの報告を得たとし、中間報告としてまとめたものを公表した。これは、奈良市で開催された第52回日本小児アレルギー学会における「緊急フォーラム」(11月22日)でも発表された内容である。


画像はリリースより

2015年秋、全国的に喘息発作入院が増加し、一方で、各地で急性弛緩性麻痺(AFP)の散発が報告され、いずれもエンテロウイルスD68(EV-D68)との関連が疑われている。AFPについては、日本小児神経学会が迅速に調査をし、疾患の重篤度からも、積極的疫学調査を行うことが厚生労働省事務連絡で通達された。

しかし、喘息については病原微生物検出情報(IASR)への重篤例の報告以来、調査の必要性が議論されているが、今年を多発とするベースラインデータも存在しないことから積極的調査の対象とはならなかった。そこで、日本小児アレルギー学会としては、EV-D68流行に関連して、喘息発作にフォーカスした全国調査を行うことを決定。感染症流行に左右される喘息発作入院の実態を明らかにして、今後のエピデミックに備えることが目的だという。

EV-D68の流行年は、喘息発作入院例の増加ピークが前倒しに

2010年からの連続データが得られた27施設の経年推移を見ると、2010年以降、2015年9-10月がもっとも多い入院数となっており、次いで、同じくEV-D68の流行がみられた2010年秋も多かった。EV-D68の流行のない年の秋の喘息入院例の増加は、ライノウイルスによることが示唆されるが、その場合、多くは10月をピークとしているのに対し、EV-D68の流行した年は、喘息発作入院例の増加が前倒しされていることがわかったという。

年齢別には、3-6歳、次いで7-12歳が多いことが明らかになった。また、ICU管理例、人工呼吸管理例も2015年9-10月に増加していたという。

2015年の喘息例に対するウイルス検索は、8施設で121例に対して実施され、EV-D68を検出しえた施設は3施設、23例であった。検出施設の月別検出率をみると、9月は50%、10月は6%。よって、2015年9月にEV-D68による喘息発作例が増加したことが示唆された。回答施設におけるAFP例は4例あったが、この4例は喘息発作を伴っていなかったという。

今回のEV-D68の流行が、全国的な流行だったか、局所的な流行だったかは、現時点では不明であるが、今後前向きな喘息発作のサーベイランスを実施し、感染症との関連を検討することが必要であると結んでいる。

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