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座薬として投与可能な核酸医薬を開発、経口薬の開発にも期待-東京医科歯科大

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2015年11月26日 PM12:45

注射薬のみに核酸医薬について、長期投与の限界を指摘

東京医科歯科大学は11月20日、同大大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野の横田隆徳教授、大阪大谷大学薬学部薬剤学講座の村上正裕教授らの研究グループが、世界初の核酸医薬の経口化を可能とする新規送達技術の開発に成功したと発表した。研究成果の一部は、国際科学誌「Scientific Reports」オンライン版に、11月23日付で公表されている。


画像はリリースより

アンチセンス核酸、siRNA などの核酸医薬を用いた遺伝子治療は、細胞膜上の分子のみが標的である抗体医薬と異なり、細胞内のあらゆる遺伝子を制御できる汎用性の高さから、今まで治療困難とされてきたさまざまな疾患、特に癌や神経疾患への臨床応用が強く期待されている。

核酸医薬は2012年に高脂血症薬「ミポメルセン」が米国で認可されて以来、欧米で急速にその臨床応用は進展しているが、注射薬しか開発されておらず、特に長期投与が必要な疾患に対する投与方法としての限界が指摘されてきた。今後、核酸を用いた治療がより一般的な治療法となるためには、内服可能な核酸医薬の開発が必要だ。また、効果と安全性の改善を目指す上で、標的とする臓器への特異的なデリバリーが重要な課題となる。

そこで研究グループは、肝臓を標的とする核酸医薬の経口可能な製剤の開発に取り組み、その前段階として座薬又は注腸剤として用いることができる核酸医薬を世界で初めて作製したという。

世界初の経口核酸医薬の実現にも光

同研究グループは、過去に開発したビタミンEを結合させたsiRNAと、既に食品や薬品として使用されている脂肪酸や界面活性剤で作製した混合ミセルとを組み合わせることで、独自に脂質ナノパーティクルを形成。このナノパーティクルを、食後にマウスの大腸に投与することで、ビタミンE結合siRNAを肝臓に到達させ、標的遺伝子の発現を抑制することに成功したという。

この方法は、食事中のビタミンEが腸管で吸収されて肝臓にデリバリーされる生理的な経路を利用したもの。食事中のビタミンEは小腸で吸収され、血液中のリポ蛋白の一種であるカイロミクロンに取り込まれて、リンパ管を経由して肝臓に選択的にデリバリーされる。同研究グループは、ビタミンE結合siRNA をナノパーティクル化して大腸に投与することで、大腸から吸収されたビタミンE結合siRNAがリンパ管に移行し、リンパ管内でカイロミクロンに導入されることを確認。体内で作られるカイロミクロンをベクターとして利用することで、より安全なデリバリー方法が確立できたという。

この研究結果の臨床応用が可能になれば、従来の注射薬と比べ、患者の負担を大幅に軽減することが可能になる。また、この成果は核酸医薬の内服薬の開発にも道を拓くものであり、今後より安全で簡便な投与を 実現する核酸医薬品の医療応用が期待される。

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