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根治切除後のステージ3悪性黒色腫におけるヤーボイの術後補助療法がFDAの承認取得-BMS

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2015年11月17日 PM12:15

切除可能なステージ3の悪性黒色腫、術後再発リスクは60%

米国のブリストル・マイヤーズスクイブ社は10月28日、米国食品医薬品局(FDA)が、リンパ節全摘出を含む局所リンパ節への1mmを超える病理学的転移を伴う悪性黒色腫患者の根治切除後の術後補助療法として、「(10mg/kg)」(一般名:)を承認したことを発表した。

切除可能なステージ3の悪性黒色腫は、毎年新たに悪性黒色腫と診断される症例の5%(約 3,100例)で、侵襲性が高く、術後再発リスクは60%。このステージの悪性黒色腫患者には切除後再発リスクがあるにもかかわらず、手術後の再発リスクを低減する治療選択肢が限られているのが現状だ。

ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体。CTLA-4 は、T細胞の活性化を抑制する調節因子である。ヤーボイは、CTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害する。CTLA-4 が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖など、T細胞の活性化と増殖が促されることが明らかになっている。また、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性があるという。

FDAは2011年3月25日に、切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として、「ヤーボイ(3mg/kg)」単剤療法を承認。同剤は現在、40か国以上で承認されている。

術後補助療法において、免疫チェックポイント阻害薬の可能性を初めて示す

今回の承認は、ヤーボイ10mg/kgが、プラセボと比較して再発または死亡のリスクを25%低下させ、無再発生存期間(RFS)を有意な改善したことを示した第3相臨床試験であるCA184-029(EORTC 18071)試験の臨床データに基づいている。RFSの中央値は、ヤーボイ群で26か月(95%信頼区間:19, 39)に対し、プラセボ群で17か月(95%信頼区間:13, 22)だったという(ハザード比=0.75、95% 信頼区間: 0.64, 0.90、p<0.002)。ヤーボイは、根治切除後のステージIII悪性黒色腫(リンパ節1mm超)の術後補助療法として、FDA から初めて承認を受けた唯一の免疫チェックポイント阻害薬となった。

このCA184-029(EORTC 18071)試験は、2008年にEORTC : European Organization for Research and Treatment of Cancer によって開始された共同研究であり、術後補助療法における10mg/kgの用量を評価したもの。・マイヤーズスクイブ社は、悪性黒色腫の術後補助療法における治療の選択肢を拡大することを目指し、今後Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)と協力し、10mg/kg 以外の用量についても探索する臨床試験を進めていくとしている。

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