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フォルクスワーゲンの排ガス不正問題、汚染量の増加による公衆衛生への影響を算出

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2015年11月13日 AM10:00

VW排ガス不正問題が60人の命に影響

自動車メーカー、(VW)の排ガス不正問題による直接的な影響として、米国では60人の早期死亡と数億ドルの医療支出などのコストが発生する見込みだという。VWは、米国で販売された48万2,000台のディーゼル車について排ガス規制を逃れる不正ソフトウェアを使用したと認めている。これにより該当車は排ガス規制法で認められる汚染量の40倍を排出する可能性があると、研究著者らは指摘している。


画像提供HealthDay

今回の分析では、米マサチューセッツ工科大学(MIT)およびハーバード大学の研究グループが、汚染量の増加分に車の販売台数を掛けることにより公衆衛生への影響を算出。その結果、今回の不正によって米国で約60人が10~20年早く死亡すると推定された。VWが2016年末までに該当する車をすべて回収すれば130人の死亡を防止できるが、回収(recall)をしなければさらに140人が早期に死亡すると考えられるという。

さらに、この汚染増加が慢性気管支炎31件、心臓および肺の障害による入院34件、約12万日の軽度の活動制限(欠勤日を含む)、約21万日の下気道症状を引き起こすという。これらの疾患は4億5,000万ドルの医療・社会コストをもたらすが、2016年中に回収が完了すれば8億4,000万ドルの将来的な支出を回避できると研究グループは結論づけている。

米VWはこの主張に対し、「EPA(米国環境保護庁)は、該当車は合法であり安全に運転できると認めている」と反論。「排出されるNOx(窒素酸化物)と特定の健康影響の関連についての主張は検証されたものではない。排ガスが実際の健康問題の原因になると確定された報告は受けていない」と主張している。

研究の筆頭著者であるMIT准教授Steven Barrett氏は、今回の研究は米国政府がVWの不正の影響を正しく推定するうえで役立つものだと述べている。「生活のなかには数々の危険因子があり、(排ガス増加は)そこに追加される小さな危険因子である」と同氏は述べ、その追加リスクは1kmの運転につき交通事故で死亡するリスクの20%だと説明。「早急に回収を行えば、総死亡の3分の2を回避することができる」と指摘している。

この研究は、「Environmental Research Letters」10月28日号に掲載された。(HealthDay News 2015年10月29日)

▼外部リンク
VW Emissions Scandal May Cost 60 U.S. Lives, Study Claims

HealthDay
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