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腫瘍溶解ウイルス「OBP-301」とチェックポイント阻害剤併用の共同研究を開始-オンコリスバイオファーマ

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2015年09月29日 PM03:15

遺伝子改変された5型のアデノウイルス

オンコリスバイオファーマ株式会社は9月24日、カナダのMcMaster大学と共同研究を実施することを9月17日に決定したと発表した。同契約に基づき、同社はMcMaster大学のKaren Mossman教授の研究グループと、腫瘍溶解ウイルス「OBP-301」((R))とチェックポイント阻害剤の併用に関する共同研究を開始する。

同社が開発中のテロメライシンは、がん細胞で特異的に増殖し、がん細胞を破壊することができるように遺伝子改変された5型のアデノウイルス。5型のアデノウイルス自体は風邪の症状を引き起こすもので、自然界の空気中にも存在する。

同剤は、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖することでがん細胞を溶解させる強い抗腫瘍活性を示すことや、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いということで、臨床的な安全性を保つことが期待されている。現段階の用法としては局所療法が中心となるため、体の負担も少なく、放射線治療や化学療法剤との併用により、さらに強力な抗腫瘍活性が導き出せることも明らかになっているという。また、これまで嘔吐・脱毛・造血器障害などの重篤な副作用は報告されていないことから、患者のQOLの向上も期待されている。

テロメライシンの治療領域を全身へ拡げる可能性を確認

今回、同社はがん免疫誘導に関する研究実績を多く持つMcMaster大学と、テロメライシンを併用したがん免疫関連の非臨床試験を実施。この共同研究は、テロメライシンとチェックポイント阻害剤を併用した場合の腫瘍抑制効果の検討、及び全身での腫瘍特異的な免疫細胞の増殖に関する検討が目的だという。

同社はこれまで、テロメライシンの局所療法としての効果を期待し、食道がんや肝細胞がんなどにおける局所がん治療に関する臨床研究や臨床試験を進めてきていた。今回の共同研究では、全身での腫瘍特異的な免疫細胞の増殖に関する検討を進めることで、テロメライシンの治療領域を局所療法から全身療法へ拡げる可能性を確認していくという。

新たなコンセプトに基づく抗がん剤である腫瘍溶解ウイルスのテロメライシンと、他の治療法との併用療法を開発することで、がん治療現場の新しい治療法選択に貢献することを目指すと同社は述べている。

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