医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 患者自身の培養脂肪幹細胞を用いた乳房再建療法の臨床研究を開始-カネカ

患者自身の培養脂肪幹細胞を用いた乳房再建療法の臨床研究を開始-カネカ

読了時間:約 1分6秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年08月06日 PM02:15

患者への負担が少なく、より完全な乳房再建へ

株式会社カネカは7月31日、グループ会社である株式会社バイオマスターが運営するセルポートクリニック横浜が「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいて計画した、培養脂肪幹細胞を用いる乳房再建療法の臨床研究を今年9月から開始すると発表した。

乳がんは、早い場合で20歳代から、また国内では12名に1人の割合で発症する若年性かつ高頻度のがん疾患。手術により乳房を摘出した場合、精神的な苦痛や日常生活の不都合などが生じるため、乳房再建が試みられる。具体的には、自身の背中や腹部の組織を用いる筋皮弁法やシリコンなどの人工物を挿入するインプラント法、脂肪・ヒアルロン酸注入などが行われているが、安全面を含め満足度の高い再建が得られない場合もあった。

自身の脂肪から取り出し培養した幹細胞を脂肪と混ぜる独自技術

今回の計画の特徴は、自身の少量の脂肪から取り出し培養で増やした幹細胞を脂肪と混ぜる独自技術を用いて乳房を再建する点にある。取り出す脂肪量が従来の脂肪移植にくらべて少なく負担が小さいことに加え、自身の幹細胞と脂肪を用いるため、安全に元の乳房に近い状態への再建が期待できるという。

同計画は、今年7月13日付で大阪大学の特定認定再生医療等委員会に実施可能と判断され、同月17日にセルポートクリニック横浜より厚生労働省関東信越厚生局に計画を提出、同24日に受理された。この療法は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律で第二種再生医療等技術に分類される乳房再建に係る再生医療に該当する。

この臨床研究により安全性と有効性が確認されれば、乳房再建の選択肢がさらに広がり、より患者への負担が少なく、より完全な乳房再建が可能となると同社は述べている。

▼関連リンク
株式会社カネカ ニュースリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 平均身長の男女差、軟骨の成長遺伝子発現量の違いが関連-成育医療センターほか
  • 授乳婦のリバーロキサバン内服は、安全性が高いと判明-京大
  • 薬疹の発生、HLAを介したケラチノサイトでの小胞体ストレスが原因と判明-千葉大
  • 「心血管疾患」患者のいる家族は、うつ病リスクが増加する可能性-京大ほか
  • 早期大腸がん、発がん予測につながる免疫寛容の仕組みを同定-九大ほか